繰り返す「顎(あご)ニキビ」!その原因と対策、美容皮膚科での治し方とは
更新日:2024年7月25日 木曜日知らず知らずのうちにできてしまうだけでなく、治っても何度も繰り返してしまう、やっかいな「顎ニキビ」。顎を含むUゾーンにニキビが大量にできて悩んでいる方や、顎下やフェイスラインにできる押すと痛いしこりのようなニキビに悩んでいる方も多くいるのではないでしょうか?
顎や顎下にできるニキビの特徴や原因、予防や対策のために日常で気をつけておくべきケアのポイント、治療方法について解説していきます。
※この記事は、美容皮膚科タカミクリニック副院長の山屋 雅美医師が監修しています。
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「顎ニキビ」は症状がひどく、なかなか治らない
20代、30代以降にできるいわゆる「大人ニキビ(吹き出物)」の代表格が顎ニキビです。顎ニキビは、ホルモンバランスの乱れやストレス、生活習慣など原因が一つではないことからも、10代の頃にできる思春期ニキビよりも治りにくく、再発しやすい傾向があります。
顎は男性であればヒゲが生えている部位、つまり男性ホルモンの影響を受けやすい部位です。ストレスなどで女性ホルモンのバランスが崩れ、男性ホルモンが優位になると、角質層が厚くなり、皮脂分泌量が増えます。角質肥厚により毛穴が塞がれ、過剰に分泌された皮脂が毛穴に詰まり顎ニキビの発生を招きます。
女性ホルモンの一つである「黄体ホルモン(プロゲステロン)」は、男性ホルモンと似た働きをもっています。生理前の数日間は、「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の分泌が盛んになります。そのため、生理前になるとニキビができやすくなります。
頬杖をついたり、無意識のうちに触ってしまったり、また女性の場合は産毛、男性の場合は髭を剃るなどのお手入れを頻繁におこなう部位のため、手やカミソリを介して細菌が毛穴に入りやすいことから、顎のニキビが腫れやすい傾向がみられます。
さらに、ホルモンバランスの影響を受けてできる顎ニキビや顎下のニキビは繰り返しやすくなっています。同じところに強い炎症を繰り返していると、皮下組織が線維化して、大きくて押すと痛いしこりのあるニキビ(硬結ニキビ)に発展してしまうこともあります。
顎のニキビは単独の原因ではなく、いくつかの原因が絡み合って発生することが多く、炎症の強いニキビを繰り返していると、しこりニキビに発展してしまうこともあるため、治療に関しては体の内側と外側、両面からトータル的なケアをしていく必要があります。
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顎ニキビを発生させる6つの原因
顎ニキビは、いくつかの要因が絡まりあって発生します。主な要因をご説明していきます。
【1】不規則な生活によるホルモンバランスの崩れ(睡眠不足)
「なぜ、不規則な生活がホルモンバランスと関係あるの?」と疑問に思う方も多いと思いますが、女性ホルモンの分泌と自律神経をコントロールしている脳の部位(視床下部)は同じため、互いに影響を受けやすくなっています。そのため、寝不足など不規則な生活によって自律神経が乱れると、女性ホルモンの分泌にも影響を及ぼします。ホルモンバランスが乱れて体内の男性ホルモンが多くなりすぎてしまうと、角質層が厚くなり毛穴が詰まりやすくなったり、皮脂が過剰に分泌されてニキビを発生させてしまいます。
女性の場合は男性ホルモンと似た働きをもつ黄体ホルモンが優位になる生理前や妊娠中は、顎にニキビができやすくなる傾向があります。また、生活の中でも特に睡眠時間が不足すると、肌の生まれ変わり(ターンオーバー)のリズムが崩れてしまい、肌が荒れやすくなってしまうので気をつけてください。
【2】皮脂・乾燥
適切な量の皮脂は外的刺激から肌を守ったり、肌の水分を蒸発させないために必要です。しかし、あまりにも多くなると酸化した皮脂が炎症を起こすことにより、毛穴まわりの角質が肥厚し、毛穴が詰まりニキビを発生させてしまします。朝・夕2回の洗顔で皮脂膜をリセットするように心掛けましょう。
ただし、あまりに皮脂を取り過ぎて乾燥すると、肌が「皮脂が足りない」と勘違いしてしまい、皮脂を過剰分泌させてしまうので注意が必要です。また、肌が乾燥していると、肌に本来備わっているバリア機能が失われ、少しの刺激でも肌が傷ついて炎症を起こし、ニキビになってしまうので気をつけてください。
【3】紫外線
「紫外線とニキビ」と聞いても、あまりピンとこないかもしれませんが、実は大いに関係しています。ニキビの原因菌であるアクネ菌は、誰の肌にも常在していて「ポルフィリン」という代謝物を産生しているのですが、このポルフィリンに紫外線があたると、大量の活性酸素が発生しニキビの炎症を悪化させます。
さらに紫外線は、メラニン色素を誘発させてニキビ跡(色素沈着)を招いてしまいます。そのため、ニキビを予防し悪化を防ぐためには紫外線対策が大切なのです。
【4】ストレス
ストレスを感じると、体の調子を整えてくれている自律神経のバランスが崩れ、それに伴いホルモンバランスも崩れてしまいます。先にも触れましたが、このホルモンバランスの崩れが、皮脂の過剰分泌を促したり、肌の角化を亢進させ毛穴を詰まりやすくしたりしてしまうのです。
【5】直接的な刺激
頬杖や髭剃りなど、肌への直接的な刺激が肌を傷つけ、そこから雑菌が侵入して炎症を起こし、ニキビを発生させることもあります。スキンケア時に肌を強く擦ることや、マスクの着用によって生じる摩擦も顎ニキビの炎症を悪化させる要因になるので注意をしましょう。
【6】食生活の乱れ
ファーストフードや揚げ物などの脂質や、ケーキやお菓子などの糖質は、皮脂の分泌を増やす原因になるので摂りすぎないように注意を。また、野菜やタンパク質不足など、栄養の偏った食生活をしていると、肌が荒れやすくなってしまいます。
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顎ニキビを防ぐために日常生活で気をつける7つのポイント
顎のニキビを予防、悪化させないためには、正しいスキンケアや体調に不調がでないよう心掛けることが大切です。日常生活では以下のポイントを抑えておきましょう。
【1】 洗顔
汚れを落とそうとするあまり、肌をゴシゴシ擦って洗う人がいますが、これは肌を傷つけてしまうため逆効果です。スクラブ入りなど、刺激の強い洗顔料も避けてください。洗顔をするときは、しっかり洗顔料を泡立てて、手のひらと肌の間に泡のクッションをつくり、40秒くらいで優しく洗うようにしましょう。
【2】 保湿
ニキビができると「保湿しない方が良いのでは?」と思う方がいますが、保湿はしっかりおこないましょう。もちろん、過剰な油分の保湿は厳禁ですが、保湿は肌のバリア機能を保ってくれる大切なケアです。
ニキビのできやすい部分はクリームやオイルの保湿を避け、保湿化粧水の重ね塗りのあと、油分の少ないゲルや乳液で保湿をしましょう。コットンの摩擦はニキビの炎症を悪化させてしまうため、スキンケア時はコットンを使用せずハンドプレスで化粧水をしっかりと浸透させましょう。
【3】 規則正しい生活
規則正しい生活を心掛け、睡眠時間は十分に確保しましょう。睡眠中に分泌される「成長ホルモン」は、ターンオーバーを促し、バリア機能を高める働きがあります。以前はお肌のゴールデンタイムと言われる22時~2時の時間帯に寝るようにと言われていましたが、就寝する時間帯よりも、いつも決まった時間にベッドに入り、きちんと熟睡をする「質の高い睡眠」を取ることのほうが大切です。パソコンやスマートフォンは寝る前に極力使わないなど入眠環境を整えて、眠りの質を高めるようにしましょう。
【4】 ストレスをためない
ストレスをためこまないように、運動や趣味を生活の中に取り入れると良いでしょう。ただ、間違っても「ドカ食い」のようなストレス解消法をとらないようにしてください。時々でもゆっくり入浴して、日々の緊張やストレスで高まった交感神経を抑え、副交感神経を優位にもっていくようにしましょう。
【5】 紫外線対策
日焼け止めを使って、紫外線対策をしっかりおこないましょう。日焼け止めは洗い流すのを忘れると、毛穴詰まりやニキビを招く要因になってしまうので、しっかり洗い流すのは忘れないようにしてください。日焼け止めは年中通して使用し、紫外線の強い季節には帽子や日傘を併用することをお勧めします。
【6】 直接的な刺激の軽減
男性であれば、髭剃りの刃はこまめに取り替えたり、髭剃りのときはシェービングジェルをしっかりつけておこなうなどの工夫が必要です。また、顎を触ったり、頬杖をついたりするクセのある人は、そういったクセを矯正するように意識してみましょう。
このほかにも、襟付きの服などが顎に当たってしまっていたり、マスクの着用により肌に摩擦を与えている場合もあります。顎ニキビが気になる人は、なるべく顎に直接的な刺激が加わらないような服を選ぶ、サイズの合ったマスクや肌に優しい素材のマスクを選ぶようするのが得策です。
【7】 バランスの良い食事
意識しないと不足しがちな、ビタミン、ミネラル、タンパク質が豊富な食べ物は積極的に摂るようにしてください。特に、肌の炎症を抑えたりコラーゲンの生成をサポートしたりするビタミンC、脂質の代謝を調節し、肌の健康を保ってくれるビタミンB群は意識して摂るようにしましょう。外食が多い人、偏食気味な人は、サプリメントを取り入れて、不足しがちな栄養素を補いましょう。
タカミクリニックでは、ニキビがある時におこなって欲しいスキンケア方法についてもアドバイスもおこなっています。
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美容皮膚科での顎ニキビの治療方法について
セルフケアだけでは対処しきれない場合や、効率的に治療したい場合は美容皮膚科で治療を受けるのも良いでしょう。美容皮膚科では、以下のような治療をしています。
【1】内服薬・外用薬
肌の炎症を抑えたり、菌を抑制したり、肌のターンオーバーを整えたり、男性ホルモンを抑制する働きのある内服薬や外用薬を処方してくれます。メラニン生成の抑制効果や抗酸化作用のある、高濃度ビタミンCローションも効果的です。
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【2】ケミカルピーリング
皮膚にピーリング剤を塗布し、角質細胞間をゆるませたり角質層を剥離させたりすることで角質層を整え、毛穴の詰まりを改善させる方法です。ケミカルピーリングによってターンオーバーが促進されるため、ニキビ治療だけでなくシミやしわなどの改善にも効果があります。
この方法は、ピーリング剤の種類、濃度や塗布時間によっても効果が異なるので、医師によるきちんとした肌診断が必要となります。
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【3】イオン導入
ビタミンC誘導体やビタミンCE誘導体といった肌の健康を保つために有効な成分は、ただ肌に塗るだけではほとんど肌に浸透しません。美容皮膚科でおこなっているのは、専用の機器を使って有効成分を肌の奥深くまで届ける「イオン導入」という方法です。
イオン導入は、ニキビの炎症抑制、皮脂の分泌調整、保湿効果、ターンオーバーのサポート、ニキビ跡の凹みの予防など、ニキビに対してさまざまな効果があるだけでなく、すでにできてしまったニキビ跡の色みを目立たなくするのにも有効です。抗男性ホルモン薬など、医療機関ならではの成分を配合したオリジナル導入液をタカミクリニックでは使用しています。
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【4】LED治療
LEDの光を使って、肌の中で炎症を起こしているアクネ菌を殺菌したり、皮脂線に作用して皮脂の分泌を抑制したりする治療法です。ニキビだけでなく、しわやシミの軽減、コラーゲンの生成をサポートすることによるハリと弾力の強化など、さまざまな効果が期待できます。ケミカルピーリングやイオン導入と組み合わせることによって、より一層高い効果を得ることができるでしょう。
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【5】ニキビ圧出
ニキビがたときによくやってしまうのでは、「自分でニキビを潰す」という行為。気になって潰してしまいたい気持ちはわかりますが、ニキビは自分で潰すと跡になり、肌の見栄えを悪くしてしまいます。
ニキビが気になって自分で潰してしまいそうなときは、美容皮膚科で「ニキビ圧出」をしてもらいましょう。専用の器具を使ってニキビの中にある皮脂や膿を肌に負担をかけずに取り出しニキビの悪化を抑え、ニキビ跡になるのを防いでくれます。
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【6】ニキビ注射
炎症を起こしているニキビに、治療薬を直接注入する方法です。ただ、あくまでこれは「炎症を起こしているニキビを治療する方法」であり「繰り返すニキビの体質を改善する方法」ではない点に注意しておきましょう。
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【7】コスメ
ニキビ改善に効果のあるビタミンC誘導体などを配合したコスメを販売している施設もあります。タカミクリニックでも長年の経験に基づいた、ニキビ用のトータルスキンケアラインを販売しています。
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【8】自宅でおこなうセルフケアの指導
ニキビの原因は、もしかしたら間違った日々のセルフケアかもしれません。ニキビ治療には自宅でのケアは欠かせないため、正しいセルフケアが行えるようにカウセリングを行い、ひとりひとりに合ったケアの仕方を指導してくれます。
すべての皮膚科がニキビ治療に精通し、オリジナルの治療薬を開発したり、美容の観点を取り入れた施術をおこなっているわけではありません。当院では、長年に渡り培ってきたニキビ治療の知識を活かし、ほかでは受けることのできない独自のニキビ治療をおこなっています。
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まとめ
大人ニキビの一種である「顎ニキビ」。思春期にできるニキビと違って、時間が経つと症状が落ち着くということはありません。生活習慣を一から見直し、根気よく直していく必要があるでしょう。
また、セルフケアだけでは対処しきれないほど悪化してしまった場合や、押すと痛いしこりのようなニキビ、ニキビ跡になるのを避けたい場合は、美容皮膚科での治療がおすすめです。
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