治らない「大人ニキビ」の
原因と対処法・予防方法
「思春期にずっとニキビで悩んでいたのに大人なっても治らない」「思春期には悩んだことがないのに20代過ぎてから急にニキビができるようになった」と、大人になってもニキビでお悩みの方は多いのではないでしょうか。
大人ニキビの特徴から原因や対策、正しいケア方法を知って、大人ニキビに悩まされない肌を目指しましょう。
美容皮膚科医タカミクリニック副院長の
山屋 雅美医師が監修しています。
大人ニキビとは
大人ニキビとは思春期を過ぎてからできるニキビで、一般的には20代以降にできるニキビです。大人ニキビは「吹き出物」とも呼ばれ、思春期の頃にできるニキビとは区別されます。フェイスラインや口の周りにできやすく、治しても同じ場所に繰り返しやすい、ニキビができたあとは茶色く跡に残りやすい特徴があります。
大人ニキビと思春期のニキビとの違い
10代のころにできる思春期のニキビと20代以降にできる「大人ニキビ」は、拡大鏡でみても形状は全く同じで、ニキビ自体に違いはありません。ニキビができる過程も同じですが、ニキビが発症しやすい部位やできる要因に違いがあります。皮脂の過剰分泌が原因となる思春期ニキビに対して、大人ニキビはストレスや食事・睡眠などの生活習慣やホルモンバランスの乱れ、スキンケアやメイクなどのライフスタイルが複雑に絡んでニキビが発生しています。発生原因の特定が難しいため、治りにくく再発もしやすくなっています。
大人ニキビの種類と
できやすい部位
大人ニキビは症状によっていくつかの段階があり、ニキビの種類として分類できます。
大人ニキビの種類
白ニキビ
大人ニキビのでき始めは「白ニキビ」です。角質肥厚などによって毛穴の出口がふさがれて、毛穴の中に皮脂が溜まって膨らんでいる状態です。炎症はありません。
黒ニキビ
白ニキビが進行して毛穴の入り口が開き、毛穴に詰まっていた皮脂や古い角質などが空気にさらされて酸化し黒くなると「黒ニキビ」になります。白ニキビ同様、炎症はありません。毛穴部分が黒くみえるため、白ニキビより目立ちやすくなります。
赤ニキビ
白ニキビが悪化すると、炎症性の「赤ニキビ」へと進行します。毛穴の中にたまった皮脂を栄養として、アクネ菌が増殖し、炎症を起こしている状態です。
黄ニキビ
赤ニキビがさらに進行すると、黄色ブドウ球菌まで増殖し、膿が溜まって黄色く見える「黄ニキビ」になります。ここまで悪化すると跡が残る可能性が高まります。
紫ニキビ
さらに炎症が進み、毛穴の周囲にまで炎症が及ぶと、毛穴内部に膿と血が溜まって赤紫色に腫れ上がっている「紫ニキビ(嚢腫)」になります。紫ニキビは最も重症化したニキビです。
大人ニキビのできやすい部位
大人ニキビは「Uゾーン」と呼ばれる口周り、あご、顎裏、フェイスラインなど顔の下半分にできやすくなっています。顔以外にも胸のあたりや首、背中にもできる傾向があります。
なぜ大人ニキビはできるのか?
大人ニキビは「毛穴のふさがり」「皮脂の過剰分泌」「毛穴内でのアクネ菌の増殖」が原因となって発症します。思春期ニキビと原因は変わりませんが、大人ニキビの場合はホルモン影響のほか、ストレス、食生活の乱れ、睡眠不足、そして間違ったスキンケアなど、生活習慣やライフスタイルに及ぶなどさまざまな要因が複数関わっています。
また、大人ニキビができる原因は男女でも違いがあります。男性はひげ剃り、女性はメイク汚れや生理によるホルモンバランスの変化も挙げられます。
大人ニキビの原因
大人ニキビができる原因①
ホルモンバランスの乱れ
「生理前になるとニキビが増える」場合は、生理周期によるホルモンバランスの変化が影響しています。生理前には、男性ホルモンと似た働きをもつ「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の分泌が増えます。すると、皮脂の分泌を増やし、角質を厚くするため、毛穴がつまりやくすなってニキビが発生します。
また、食事や睡眠などの生活習慣や、ストレスなど精神的な面が影響して、ホルモンバランスが乱れると、同様に皮脂が多く分泌されてニキビができやすくなります。
大人ニキビができる原因②
肌の乾燥
肌の乾燥は、皮脂の過剰分泌やターンオーバーの乱れ、バリア機能の低下を引き起こし「毛穴をつまらせ」「毛穴に皮脂がたまる」環境をつくります。
バリア機能が低下した肌は、皮膚の内側にある保湿成分をとどめておくことができないため肌の乾燥をさらに進行させ、ますます大人ニキビを誘発したり、ちょっとした刺激で炎症を起こしニキビが悪化しやすくなります。
大人ニキビができる原因③
過度なストレス
過度なストレスはホルモンバランスと密接な関わりを持っている自律神経に影響を及ぼします。
ストレスにより自律神経が乱れると、男性ホルモンの分泌が増えます。この男性ホルモンには、皮脂を過剰に分泌させて角質を厚くする働きがあり、大人ニキビができやすい肌状態をつくります。
また、自律神経の乱れにより免疫力が低下すると、ニキビが悪化しやすくなってしまいます。
大人ニキビができる原因④
食生活の乱れ
偏った食事が続くと、ニキビのない健康的な肌にはなれません。油分や糖分の多い食事ばかり食べていると、皮脂の分泌量が多くなり、大人ニキビができやすくなります。
また、ビタミンやミネラル、タンパク質など肌の健康状態を維持するために必要な栄養素が足りない食生活は、肌荒れなどの肌トラブルが起こりやすくなってしまいます。
大人ニキビができる原因⑤
睡眠不足
睡眠は大人ニキビと深い関わりがあります。
睡眠中に分泌される成長ホルモンは、肌の再生とターンオーバーを促す働きがあります。睡眠不足によってターンオーバーがうまく行われないと、古い角質が残って毛穴がつまりやすくなってしまうのです。
また、睡眠不足そのものがストレスとなって自律神経を乱し、ホルモンバランスが崩れて大人ニキビの原因をつくってしまいます。
大人ニキビができる原因⑥
間違ったスキンケア
ニキビケアのため取り入れているスキンケアが、逆に肌の乾燥や角質肥厚を招く原因になっている可能性があるため、ケアの見直しをする必要があります。
見直しが必要なケア
- 汚れを残さないために1日に何度も、時間をかけてしっかりと洗顔している
- 朝からクレンジングオイルを使ってニキビの原因になる皮脂を落としている
- 皮脂でベタつくからスキンケアは化粧水だけ
- 洗顔ブラシやスクラブを愛用している
- 化粧水や乳液はコットンを使って塗っている
- オイルやクリームなど油分の多いアイテムで保湿をしている
- 20代以降でも、皮脂対策に10代用のニキビ用化粧品を使っている
また、肌に合っていないアイテムを使うことで、化粧品そのものが毛穴につまってしまうことや、肌刺激となって炎症を起こすこともあります。ニキビがある時こそ、スキンケアアイテムを厳選して選ぶようにしましょう。
大人ニキビの
正しいケアと予防対策
大人ニキビを予防・改善するためには、肌状態を整える「スキンケア」はもちろん、肌や体の機能に影響を与える生活習慣の見直しも大切です。
大人ニキビのケア方法①
洗顔
洗顔やクレンジング時の注意点は「肌を擦って汚れを落とさないこと」です。肌に摩擦を与えないよう、クレンジングは40秒~50秒を目安にやさしく馴染ませます。洗顔時も指が肌に直接触れないように洗顔料をしっかりと泡立ててメレンゲ状の泡で包み込むように洗います。20秒~30秒が目安です。
40度以上のお湯は乾燥を招くため、34度~38度程度のぬるま湯で、すすぎ残しのないように、髪の生え際や小鼻の際、フェイスラインまでしっかりとすすぎましょう。
洗顔後は、タオルを押し当てるように水分を拭き取ります。最後まで、肌を擦らないようにしましょう。
大人ニキビのケア方法②
保湿のスキンケア
洗顔後は、肌表面が皮脂で覆われていないため、肌の乾燥が進みやすい状態になっています。
洗顔後はすぐに保湿して、肌にうるおいをプラスします。
ニキビを刺激しない保湿のポイントは、コットンを使わずに手で浸透させることです。手のひらに化粧水をとって、顔全体を包むようにハンドプレスすることで摩擦のない保湿ができます。化粧水で肌をうるおわせた後、ミルクや美容液でしっかりと保湿しましょう。ニキビがある部分には油分のあるクリームやオイルは使用せず、乾燥している部分だけに使いましょう。
大人ニキビのケア方法③
紫外線対策
「ニキビがある時には、日焼け止めを塗らないほうがよいのでは?」と思う方もいるかと思いますが、紫外線はニキビの炎症を悪化させたり、角質を厚くしたりと、ニキビが治りにくい状態をつくります。
紫外線は季節、天候関係なく、1年中降り注ぎ、窓ガラスを通過して室内にも入ってきます。雨の日でも、外出をしない日でも、1年を通してSPF35程度の日焼け止めを毎朝塗る習慣をつけましょう。毛穴のつまりを誘発するクリームタイプやウォータープルーフの日焼け止めは避け、落としやすいものを選ぶのがポイントです。
大人ニキビの予防対策①
規則正しい生活
肌の新陳代謝を促す働きのある成長ホルモンは、眠ってから4時間くらいの間にたくさん分泌されるので、この時間に深く眠ることが大切です。きちんと熟睡する「質の良い睡眠」をとるためには、だいたい決まった時間に就寝、起床することを心がけ、1日6時間程度の睡眠時間を確保しましょう。
適度な運動をすると必要な酸素や栄養が血液によって運ばれ、老廃物を排出できるようにもなり肌の代謝が高まります。さらに、ストレス発散や良質な睡眠にもつながります。ぐっすりと眠るためにも、ウォーキングやヨガなど負荷をかけ過ぎない有酸素運動が適しています。
大人ニキビの予防対策②
バランスの良い食事
大人ニキビを予防する食事には、日々の食事において糖分や脂質を控え、タンパク質や野菜を意識してとることも大切です。外食が多い人や偏食気味な人は、サプリメントを活用しましょう。脂質代謝を促すビタミンB2・ビタミンB6や、美肌作用のあるビタミンC・ビタミンEなどのサプリメントもおすすめです。
また、夜中や寝る2時間前に食事をしないように気を付けて、睡眠の悪影響にならないようにしましょう。
大人ニキビの予防対策③
ストレスを溜めない事
ストレスにはさまざまな種類があり、紫外線や大気汚染などの刺激による外的ストレスや睡眠不足などからくる内的なストレス、人間関係などの社会的なストレスが主に挙げられます。社会的なストレスは、質の良い睡眠をとり、適度な運動、入浴なども取り入れて日々解消して、ストレスの蓄積を防ぎましょう。
好きなことに没頭して、リフレッシュするのも大切です。また、ニキビケアに気を使い過ぎないようにするなど、頑張り過ぎないのもポイントです。
大人ニキビの予防対策④
直接的な刺激の軽減
大人ニキビは刺激するといつまでも治りません。ニキビができても触らない、頬杖などのクセを見直す、マスクが肌に擦れないよう顔のサイズに合ったものを選ぶなど注意しましょう。また、男性の場合には毎日のひげ剃りにも注意し、シェービングフォームや電動シェーバーなどを使って刺激が少なくなるように工夫しましょう。
大人ニキビが治らない場合は
病院やクリニックに相談しよう!
大人ニキビは治りにくいだけではなく、繰り返し発症する傾向が強いため早めに対処して治すことが大切です。ニキビケアを続けているけど良くならない方はもちろん、自分に合ったケア方法が知りたい方は、ニキビの治療を専門に行う医師がいる病院や皮膚科、美容皮膚科クリニックを探して、繰り返してしまう大人ニキビを根本から治す治療を始めましょう。