まずは知ってほしいニキビのコト

ニキビができる原因は?
治すために「なぜできるか」を知ろう!

繰り返しできる頑固なニキビ。ニキビがなぜできるのか?と悩んでいる人は男女問わず少なくありません。何度も繰り返しできるニキビを根本から治すには、ニキビができる原因をくわしく知ったうえで、正しい対策をすることが重要です。繰り返すニキビを治すために正しい知識を身につけましょう。

美容皮膚科医タカミクリニック副院長の
山屋 雅美医師が監修しています。

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ニキビとは?実は皮膚の病気です

ニキビとは、正式名称を「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」といい、よく耳にする「ニキビ」は通称です。ニキビは10代から大人まで男女問わず90%以上の方が経験する生理現象のため軽視されがちですが、ニキビも皮膚の病気のひとつです。

ニキビは、重症化すると跡になって残ってしまう確率が高くなります。また、軽症であっても跡が残ることがありますので、早めに治すことがニキビ跡のない肌を保つポイントとなります。早くニキビを治すためにも、ニキビができる原因を知ることが大切です。

ニキビはなぜできる?
原因となるメカニズム

ニキビができる主な原因は「角質肥厚などによる毛穴のふさがり」「皮脂の過剰分泌」「毛穴内でのアクネ菌(=ニキビ菌)の増殖」の3つです。これらはさまざまな要因が複雑に絡み合って起こります。

①角質肥厚が起こる

①角質肥厚が起こる

②毛穴の入口がふさがる

②毛穴の入口がふさがる

③毛穴内に皮脂がたまる
(白ニキビ)

③毛穴内に皮脂がたまる(白ニキビ)

④アクネ菌が繁殖し、
炎症が起きる
(赤ニキビ)

④アクネ菌が繁殖し、炎症が起きる(赤ニキビ)

⑤炎症が悪化し、膿が溜まる
(膿胞ニキビ)

⑤炎症が悪化し、膿が溜まる(膿胞ニキビ)

正常な肌ではターンオーバー(皮膚の新陳代謝)によって、古い角質は剥がれ落ちていきます。

何らかの原因でターンオーバーのリズムが乱れると、毛穴周囲の角質が厚くなり、毛穴の出口が狭くなって詰まりやすくなっていきます。
毛穴の中で皮脂と古い角質、ファンデーションなどのメイク汚れが混ざり合って角栓ができると、毛穴は完全に詰まってしまいます。

毛穴の中には皮脂腺があり、常に皮脂が分泌されていますが、毛穴の出口がふさがっていると、日々分泌される皮脂は肌の表面に出ることができません。大量に分泌された皮脂は毛穴の中で蓄積され、角質に覆われたまま毛穴が盛り上がった状態になり、白ニキビが発生します。

毛穴には皮膚の常在菌であるアクネ菌がもともといるのですが、出口がふさがった毛穴の中はアクネ菌にとって栄養となる皮脂が豊富なうえ、苦手な酸素がなく繁殖しやすい環境のため、アクネ菌がどんどん増殖し炎症を起こしてしまいます。

アクネ菌が増殖することで炎症が起こると毛穴が赤く腫れて、痛みのあるブツブツ(赤ニキビ)になります。さらに炎症が進むと毛穴に膿が溜まっていき、毛穴の周りにも炎症が広がってしまい治った後もニキビ跡になってしまいます。

ニキビと吹き出物の原因に
違いはあるの?

思春期に出来るものを「ニキビ」、20代以降に出来るニキビを「吹き出物」と区別して呼ぶ人もいますが、「ニキビ」と「吹き出物」は全く同じもので、異なる呼び方をされているだけです。

実際にできる過程も形状も同じで、医学的にも違いはありませんが、原因が異なります。思春期にできるニキビは、子どもから大人へと成長する過程で皮脂の分泌が活発になってできるニキビです。一方、吹き出物は生活習慣やストレス、食事の偏りなどさまざまな要因によってできます。

以前は「ニキビ」「吹き出物」と区別して呼ばれることが多くありましたが、今は「思春期ニキビ」「大人ニキビ」と呼ばれるようになっています。

ニキビの原因となる
さまざまな理由

ニキビは、さまざまな要因で引き起こされます。食事、運動、休養といった生活習慣のほか、ストレス、間違ったスキンケア、紫外線から受けるダメージ、便秘など日々の何気ない生活の中にもニキビができやすくなる要因はたくさんあります。
また、ニキビの直接的な原因となる毛穴の詰まりや皮脂の過剰分泌は、ホルモンの分泌とも密接に関係していますので、ホルモンバランスの乱れを引き起こす生活習慣をしていないか見直してみることも大切です。

原因
  • 食べ物
  • 生活習慣
  • ストレス
  • 間違ったスキンケア
  • 紫外線
  • ホルモンバランス
  • 便秘

それぞれの要因が複雑に影響し合ってニキビができているため、どれか1つの要因を取り除けたとしてもニキビを治せるわけではありません。ニキビのないきれいな肌へと近づけるために、日々の生活がどのようにニキビに影響しているのかを知っておきましょう。

ニキビができる原因①食べ物

過度なダイエットや栄養バランスを
偏りはニキビの原因に

食べ物には肌の機能を健康的にする栄養素がたくさん含まれています。体重を落とそうと無理に食事量を減らすと、ホルモンバランスが崩れたり、肌に必要な栄養素が不足して健康な肌細胞の生成を停滞させたりしてしまうかもしれません。

脂質の多いジャンクフードや洋菓子、アルコールの過剰摂取は皮脂の分泌を増やします。また、辛い刺激物はデリケートな肌にとって刺激になり、ニキビの炎症を悪化させる可能性があります。

とはいえ、ひとつの栄養素だけにフォーカスして肌に悪いからと全く摂取しないでいると、栄養バランスに偏りができ、ニキビを始めとした肌トラブルが起こりやすくなります。五大栄養素をバランスよく摂ることを意識しましょう。

食事の時間も大切です。寝る直前にお腹いっぱい食べると、眠っている間にも内臓が働き続けて睡眠の質が落ち、肌の再生力に悪影響を及ぼします。

ふだんの食生活を見直してバランスのよい食事を意識し、甘いものやお酒などの嗜好品はほどほどに楽しむように心がけましょう。

ニキビができる原因②生活習慣

睡眠不足・運動不足は肌の大敵

食生活の偏り以外にも、睡眠不足や疲労の蓄積、運動不足、慢性的な体の冷え、といった生活習慣も、ニキビができやすい体質につながります。とくに気を付けたいのが、睡眠不足と運動不足です。

睡眠中に分泌される成長ホルモンは、肌の再生と生まれ変わりであるターンオーバーを促す働きがあります。睡眠不足によって肌のターンオーバーがうまく行われないと、古い角質が残って毛穴がつまりやすくなってしまうのです。

以前は、お肌のゴールデンタイムが22時~2時とよく言われていましたが、しっかり睡眠や休息がとれていれば、時間帯はあまり気にしなくてかまいません。夜型や朝型の方、それぞれの体内リズムや体内時計があるので、大体決まった時間にベッドに入るようにしましょう。

また、デスクワークの方は運動不足からホルモンバランスが乱れて、ニキビにつながることがあります。ヨガやウォーキング、ストレッチなどの軽い運動をすると、自律神経が活性化されてホルモンバランスを整えてくれます。

日々疲れを残さないようにしっかりと睡眠をとるようにして、適度な運動と規則正しい生活を送るように心がけましょう。

ニキビができる原因③ストレス

無意識でもストレスが
ニキビを悪化させる原因に

ストレスを受けると、自律神経が乱れてホルモンバランスが崩れ、ニキビを悪化させる原因となります。また、ストレスによって活性酸素が増えると、免疫力や肌のバリア機能が低下してニキビが治りにくく、コラーゲンなどの美肌成分を攻撃して跡が残りやすくなります。

ストレスが肌や体に与える影響
  • ホルモンバランスが乱れて、皮脂分泌の増加や毛穴の詰まりを招く
  • ストレス対策でビタミンCを大量に消費するため、肌の酸化や炎症が進む
  • 体内に活性酵素が発生し、免疫力が低下する
  • バリア機能の低下やターンオーバーの阻害を引き起こす

ストレスは知らず知らずのうちに受けていることがあります。毎日ゆっくり湯船に浸かる習慣をつくると、リラックスして身体も温まるため副交感神経の働きが優位になります。身体を動かしてストレスを発散したり気分転換の時間をつくったり、ストレスをためない工夫を取り入れてみましょう。

ニキビができる原因④間違ったスキンケア

洗顔でゴシゴシ、乾燥はNG!
間違ったケアはニキビを進行させます

実は、スキンケアの方法が間違っているだけでもニキビができる原因になってしまいます。もしかしたら、肌に良いと思ってしているスキンケアでニキビをつくっているかもしれません。

洗顔のときに汚れをしっかりと落とそうと肌をゴシゴシしていると、摩擦から肌を守ろうと防衛反応が働いて角質が厚くなります。洗顔のしすぎや脱脂力の強い洗顔料は、肌に必要なうるおい成分まで落として肌の乾燥を引き起こします。肌が乾燥すると、肌内側のうるおいを守ろうと皮脂が過剰に分泌されてしまうため、逆にニキビができやすくなってしまいます。

また、化粧品や洗浄成分をしっかりと洗い流しておかなければニキビを悪化させてしまうため、髪の生え際などは丁寧にすすぎましょう。洗顔でタオルを使って拭くときにも強くこすらず、肌をいたわるようにやさしく拭きます。

洗顔でしっかり汚れを落とすのは重要ですが、やりすぎも肌にとっては悪影響となります。肌を優しく守りながら洗浄し、すぐに保湿してうるおいを保ちましょう。

ニキビができる原因⑤紫外線

紫外線によるダメージは
ニキビ悪化の引き金に!

ニキビができやすい肌にとって、紫外線は大きなダメージです。紫外線がニキビに及ぼす影響は大きく3つの点あります。

➀角質層が厚くなる

紫外線を浴びると、皮膚の内部を守るために角質層が厚くなります。毛穴周囲の角質が厚くなることで毛穴の出口が狭まり、毛穴をふさぐ原因になります。毛穴がふさがると、毛穴の中でアクネ菌が繁殖しやすい環境になります。

➁大量の活性酸素が発生する

紫外線を浴びると、アクネ菌によって生産されるポルフィリンという物質が大量に活性酸素を発生させます。活性酸素は、毛穴の中の皮脂を酸化させて炎症を引き起こす過酸化脂質を作り出し、炎症ニキビの原因となります。

➂メラニン色素が増加する

ニキビができている肌が紫外線を浴びると、肌のメラニン色素がさらに増加してしまい、ニキビができたあとが茶色いシミのようなニキビ跡になってしまいます。


紫外線は季節や天候を問わず、1年中常に降り注いでいます。紫外線によるニキビ悪化を防ぐためには、外出をする予定がない日でもしっかりと紫外線対策をするのが重要です。毎朝必ず日焼け止めを使うほか、ビタミンCやビタミンB2を摂取して体の内側からも紫外線ケアを行いましょう。

紫外線のほかにも、花粉や大気汚染もニキビをはじめとした肌トラブルの原因となります。外出するときには紫外線だけでなく、花粉や大気汚染からも肌を守るようにしましょう。

ニキビができる原因⑥ホルモンバランス

生理前は要注意!ホルモンバランスの
乱れはニキビと密接に関係

生理前になるとニキビができる方は、ホルモンバランスに影響されている可能性が高いです。女性ホルモンには「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」があり、肌の状態を大きく左右します。

エストロゲンは肌のヒアルロン酸やコラーゲンをつくる「美肌ホルモン」と呼ばれています。プロゲステロンは男性ホルモンと似た働きがあり、皮脂の過剰分泌や、角質を厚くするため、毛穴が詰まりやすくなって、毛穴から皮脂を排出しきれなくなりニキビが発生します。

生理周期に置き換えると、排卵前になるとエストロゲンの分泌が抑えられて肌トラブルが起こりやすくなり、排卵のあとはプロゲステロンが増えてニキビができやすくなるのです。

ホルモンの分泌が増える思春期は
ニキビができやすい

女性の場合、思春期には女性ホルモンの分泌が増え、子供から大人に変わっていく二次性徴とよばれる体の変化があらわれます。しかし思春期は、卵巣が未発達なこともありホルモンバランスが崩れやすいのです。皮脂分泌が増加し、皮脂の多い額や鼻などのTゾーンや頬にニキビができやすくなります。

ニキビができる原因⑦便秘

腸内環境が悪いと肌トラブル・
ニキビを引き起こす結果に

「便秘はお肌の大敵」というように、便秘はニキビに悪影響を及ぼします。

便が腸内に長時間滞在すると、腸内環境が悪化して悪玉菌が増えます。増えた悪玉菌は有害物質を発生させて、腸の毛細血管から全身に流れていきます。有害物質は肌の表面を刺激しながらターンオーバーにも影響を及ぼし、ニキビやくすみなどの肌トラブルを引き起こしてしまうのです。

便秘が慢性化すると有害物質によって全身の代謝が悪くなっていき、むくみやたるみの原因にもなります。また、便秘により腸内環境が乱れると、身体の免疫機能低下を引き起こしてしまうこともあります。2日に1回の排便を目標に「食生活を見直す、運動をする、腸内環境を整える」など行っていきましょう。

ニキビは悪化する!
早めに原因の対処が必要です

何気ない生活のひとつひとつが、いつの間にかニキビをつくっている要因になっていたのがお分かりいただけたでしょうか。ニキビが軽症のうちはついつい放置してしまいがちですが、放っておくと炎症が起きて赤みや化膿、ニキビ跡へと進行し、肌がボコボコになってしまうかもしれません。ひとつひとつの原因を見つけて、自分に合った改善策を考えてニキビのできにくい肌にすることも可能です。ニキビができたら早めにケアして、進行を防ぎ、重症化しないようにしましょう。