ニキビのできる場所には
意味がある!
原因と対策を知ろう
治った二キビがまた同じ場所にできた、ということはありませんか。特定の場所にニキビを繰り返しているときは、生活習慣や日常的な癖の中にニキビをつくってしまう間接的な要因が隠れているかもしれません。ニキビができる場所ごとの原因や対策を知ればニキビができにくい肌になれます。
美容皮膚科医タカミクリニック副院長の
山屋 雅美医師が監修しています。
ニキビはできる場所によって
原因が違うの?
ニキビができる原因は「角質肥厚などによる毛穴の詰まり・皮脂の過剰分泌・アクネ菌の増殖」の3つです。どの場所のニキビであっても、基本的にはニキビができる「原因」は同じですが、ニキビを発生・悪化させてしまう「要因」が違うことはあります。
ニキビができやすい代表的な場所におでこや眉間、鼻などのTゾーンと、口周りやフェイスライン、顎などのUゾーンがあります。それぞれの場所によってニキビの原因を作り出す要因があるのです。
ニキビのできやすい場所①
顔にできるニキビの原因と対策
ニキビができやすい場所といえば顔でしょう。顔の中には皮脂が多いTゾーンや乾燥しやすいUゾーンなど、場所によって肌の状態が全く違います。さらに細かく顔のパーツを分けてみると部位ごとに特徴があるのに気づくはずです。顔の細かい部位ごとにニキビの原因を作り出す要因の違いが分かれば、予防・対策できるようになります。
おでこ・眉毛・眉間のニキビ
おでこや眉間のTゾーンのニキビは、皮脂が多く分泌される10代〜20代前半にできやすく、一度できるとなかなか治りにくいのが特徴です。
原因
おでこや眉間、眉のあたりにできるニキビの主な原因は過剰な皮脂の分泌です。また、前髪による肌刺激や整髪料の油分、洗顔や洗髪時のすすぎ残し、肌を擦るなどのスキンケア時の刺激が要因になり、ニキビが発生することもあります。
対策
皮脂が多い場合は、皮脂汚れをきちんと落とし、生え際などに洗顔料のすすぎ残しがないようにしましょう。洗顔後は皮脂の分泌を抑えるビタミンCが配合された化粧水で保湿を。また、肌刺激となる前髪がおでこに当たらないようにする工夫も必要です。
鼻・小鼻のニキビ
鼻や小鼻は、顔の中でもニキビができやすく皮脂量が多いため、テカりや毛穴の黒いブツブツなどほかの悩みも併発しがちです。鼻は顔の中央に位置し、ニキビができると特に目立つこともあり、ついニキビを触ってしまうため、炎症にもつながりやすく注意が必要です。
原因
鼻は毛穴が多く、皮脂腺が発達していて皮脂が分泌される場所です。また、鼻をかむなど接触による摩擦刺激も多く、角質が厚くなって毛穴をふさいでしまいます。マスク着用による蒸れや摩擦が鼻のニキビを助長しているケースもあります。
対策
鼻は毛穴に皮脂や汚れが詰まりやすい部位です。毛穴に皮脂や汚れを残さないようにきちんと汚れを落とす、角質ケアを取り入れて角質が厚くなりすぎないようするなど、毛穴を詰まらせないことが予防ケアになります。さらに、気づかぬうちにやっている触り癖にも注意しましょう。
顎(あご)・フェイスラインのニキビ
顎やフェイスラインといったいわゆるUゾーンも大人ニキビができやすい場所です。Uゾーンのニキビは治りにくいうえ、痛みをともなうことがあります。顎やフェイスラインは刺激も多く、進行するとしこりやニキビ跡になりやすいです。
原因
顎やフェイスラインは、男性ホルモンの影響を受けやすく、ストレスによりホルモンバランスが乱れ男性ホルモンが優位になると、皮脂量が増え、肌がかたくなることが原因でニキビができます。それ以外にも、食事の偏り、寝不足などさまざまな要因が関係しています。
対策
顎やフェイスラインのニキビは、複数の要因が絡んでいることが多く、原因の特定が難しい部位でもあります。生活習慣の見直しに加えて、角質ケアで古い角質が溜まらないようにする、皮脂分泌を抑えるビタミンC配合の化粧水を使うなどして、毛穴がつまらないようにしましょう。
頬(ほほ)のニキビ
頬のニキビは皮脂の分泌量が多い10代の思春期にできやすく、大人になってもさまざまな原因で発生します。マスクを着用する機会が多い今の生活では、ニキビができやすい場所のひとつです。
原因
頬ニキビの主な原因は過剰な皮脂分泌です。思春期は顔全体の皮脂量が多いため、Tゾーン同様、ニキビが出来やすい部位になります。20代以降でも頬ニキビができるのであれば、肌の乾燥や、間違ったスキンケア、マスク着用が原因の可能性があります。
対策
10代の方は、毎日の洗顔で肌を清潔に保ちましょう。20代以降の方は、乾燥によって皮脂が過剰に分泌されないよう、しっかりと保湿を。また、頬骨部分が赤くなっている人はスキンケア時、過度に肌を擦っている可能性があります。摩擦を与えないようスキンケア方法の見直しをしましょう。
口・口周りのニキビ
口や口周りのニキビは、視線が集まり目立ちやすい場所です。大人ニキビの好発部位でもあり、痛みを生じることもあります。
原因
胃腸の不調が口周りに影響を与えることがあり、食事の摂り方や薬の服用によって胃腸の機能が弱まると口周りにニキビができやすくなるようです。また、産毛が濃い人は、毛穴詰まりの原因となってニキビが発生することもあります。
対策
食べ過ぎたり、偏食をした後に口周りのニキビができる場合には、栄養バランスの良い食事を心がけるようにしましょう。ストレスは適度に発散させて、ホルモンバランスを整えることも必要です。産毛が濃い場合には脱毛すると改善することがあります。
ニキビのできやすい場所②
身体にできるニキビの原因と対策
皮脂腺は顔では額や鼻のTゾーン、体では背中の背骨付近、デコルテ(胸)に多く分布しています。皮脂腺が発達している場所は皮脂の分泌量が多く、皮脂腺が多い背中やデコルテはニキビが出来やすくなっています。顔の皮脂分泌が多い人は、背中やデコルテも同じような傾向がありますので、自分では気づかなくても体ニキビが発生しているかもしれません。
背中のニキビ
背中は自分では見えにくいため見過ごしやすく、気がついた時にはニキビがたくさん発生していることも少なくありません。背中は顔に比べて肌のターンオーバーが遅かったり、薬が塗りづらい場所のため治りが遅くなる傾向があります。
原因
背中ニキビは、皮脂の過剰分泌、下着や衣類の摩擦による角質肥厚からなる毛穴のつまり、衣類による蒸れが主な原因となって発生します。体はアクネ菌の他にも「マラセチア」という常在菌(真菌)が原因となる「マラセチア毛包炎」も起こりやすくなっています。
対策
背中は皮脂や汗の分泌が盛んな部位です。きちんと洗浄をして肌を清潔に保つことが大切ですが、ブラシでゴシゴシ洗うと、摩擦によってニキビの炎症が悪化します。顔と同じようにやさしく洗いましょう。また、シャンプーなどの成分が背中に残ると毛穴をつまらせたり、刺激となって炎症を引き起こすことがあるので、すすぎ残しには十分注意を。ニキビケアをしていても背中ニキビが治らない場合は、マラセチア毛包炎の可能性があります。専用のお薬が必要となるため、なかなかニキビが治らない場合は受診をしましょう。
胸・デコルテのニキビ
胸元が広く開いた服など、服装によって目立つデコルテや胸のニキビ。日常的に洋服や下着と擦れる場所のため、一度できると治りにくい特徴があります。体は顔に比べてターンオーバー周期が遅く、ニキビ跡の色素沈着ができてしまうと改善に時間がかかるため、悪化させずに早めに治すのがポイントです。
原因
胸やデコルテは皮脂腺が多いため、ホルモンバランスの乱れや、食生活の偏りの影響を受けて、皮脂が過剰に分泌されることが原因となってニキビが発生しやすいです。また、下着や衣類の摩擦、衣類による蒸れもニキビを引き起こす要因となっています。背中ニキビ同様、マラセチアが関係してできるマラセチア毛包炎ができている場合もあります。
対策
過剰な皮脂はアクネ菌やマラセチアにとって栄養となります。胸やデコルテのニキビも基本のニキビケアと同じように、やさしく洗って保湿することが大切です。栄養が偏った食事や睡眠不足などに気を付け、通気性がよく、締め付けない下着を着用するのも有効です。
体のニキビはカビ(真菌)の場合があるって本当?
体は、アクネ菌が原因で起こる「ニキビ(尋常性ざ瘡)」の他に、マラセチアというカビ(真菌)の一種が増殖する「マラセチア毛包炎」も起こりやすい部位です。マラセチア毛包炎は、毛穴に一致して、数ミリ程度の赤いポツポツができるなど、ニキビと見た目や症状が非常に似ていますが、原因や治療法が異なります。
アクネ菌もマラセチアも、誰の肌にも存在する常在菌で、体には顔よりもマラセチアが多いといわれています。またマラセチアは皮脂と高温多湿を好むため、衣類で蒸れやすい背中、特に春から夏に増殖しやすい特徴があります。マラセチア毛包炎の場合は、カビ用の塗り薬を使わないとよくなりません。
ニキビケアを続けているけれども一向に良くならない場合や、患部を擦ってみてポロポロと皮がむける場合はマラセチアの可能性があるため、受診が必要です。
ニキビのできやすい場所③
頭にできるニキビの原因と対策
頭皮のニキビ
髪を洗っているときや、ブラッシングしている時に痛みを感じて、頭皮のニキビに気づくことが多いでしょう。頭皮や生え際のニキビは髪の毛で見えづらくなっていて、ニキビが進行するまで気づかず、悪化させてしまうことがよくあります。
原因
頭皮は、顔や体よりも皮脂腺が発達しており、皮脂分泌がとても盛んな部位。大量に分泌された皮脂が毛穴につまることで頭皮にもニキビができます。また、頭皮は髪の毛で覆われていて通気性が悪く蒸れやすいため、アクネ菌が繁殖しやすく、シャンプーの洗い残しや紫外線が刺激となったり、頭皮が乾燥することでニキビを悪化させている場合があります。オイリー肌の方は頭皮にはもっと皮脂が出ている可能性があるので注意が必要です。
対策
頭皮の汚れをしっかり落とす「洗浄」と、洗浄成分を残さない「すすぎ」がポイントになります。シャンプーの回数を増やす必要はないですが、髪の毛そのものではなく、頭皮の汚れをしっかり落とす洗い方をするように心がけましょう。トリートメントの油分も毛穴をつまらせる原因になります。トリートメントは頭皮に塗らずに、髪の毛に塗るようにすることもニキビ予防になります。
生え際のニキビ
こめかみやもみあげなどの髪の生え際は、髪やシャンプー剤などで刺激を受けやすくニキビができやすい場所です。こめかみはクレーター状のニキビ跡になってしまうことが多いので、悪化させないように注意しましょう。
原因
生え際にできるニキビは、シャンプー剤やトリートメント剤、洗顔料が肌に残っていることや肌に合わないヘアケア剤が刺激となり、ニキビを引き起こしていることが考えられます。
対策
洗髪時は、シャンプー剤やトリートメント剤のすすぎ残しがないよう、生え際もきちんと洗い流しましょう。また、洗顔時も生え際まできちんとすすぎ、洗顔料が残らないように注意を。ニキビが出来ている時は、刺激の少ないマイルドなシャンプーにする、前髪にワックスなど油分の多いスタイリング剤を使わないなど、アイテム選びの見直しも生え際のニキビケアには必要です。
ニキビは場所ごと
正しく治すことが大切
ニキビができる根本的な原因や過程は同じですが、場所によって発生・悪化させる間接的な要因はさまざまです。ニキビには場所ごとに適したケアがあり、自分に合った対策をとるとニキビができにくい肌へと近づけます。
自分なりにニキビケアをしても同じ場所にニキビができやすいようなら、紹介した「場所や原因に合わせた対策」を実践してみてください。それでも繰り返しニキビができたり、症状が進んで赤ニキビや黄ニキビになってしまった場合は、ニキビの跡を残さないためにも、少しでも早くニキビを治療することが必要となります。