ニキビのできにくい肌を目指そう

その「できもの」の原因は?
ニキビとの違いと見分け方

あなたの顔にできているそのブツブツとしたできもの、本当にニキビですか?
顔などにできるブツブツとした肌トラブルは、ニキビだけではありません。肌トラブルを1日も早く治すためには、ブツブツの正体を見極めて、原因に応じた正しいケアをする必要があります。まずは自分でケアを始める前に、ニキビとの違いや見分け方について知ることから始めましょう。

美容皮膚科医タカミクリニック副院長の
山屋 雅美医師が監修しています。

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これってニキビ?顔のできものや
肌荒れの正体はさまざま

ニキビの種類は?

顔に生じるできものには、さまざまなものがあります。赤いブツブツ、黒く硬さがあるもの、しこりのように大きいものなど形状や症状も異なります。ニキビの進行や症状によっては、肌荒れやできもの、おできなどと見た目が似ているため、間違ってケアをしている人も多いのではないでしょうか。

放っておいても心配のないものもありますが、なかには治療が必要なものもあり、原因や症状から違いを見分けて対処していくことができると安心です。

ニキビと見分ける前に
自分の症状をチェック

ニキビだと思っていろいろ試しているけど良くならないと悩んでいる場合、もしかしたらニキビではない肌トラブルの可能性があります。

まずは、症状に当てはまるものをチェックしてみましょう。チェックが多いほどニキビ以外の可能性が高くなります。

ニキビとほかの皮膚トラブル
を見分けるための
チェックポイント
  • 赤いブツブツが広範囲にある
  • 痛みやかゆみがずっとある
  • 大きくて柔らかいしこりのような感触がある
  • 触ると皮膚の下で動く、ぷよぷよしている
  • 指で強くつまんでも中身がでない
  • 赤みが強く皮がむける
  • 真ん中に白や黒色の芯がない
  • どんどん腫れて大きくなる
  • くちびるにできている
  • ニキビの薬を正しく使っても治らない、悪化する

ニキビと吹き出物の違いは?

ニキビと何が違うのかと、よく聞かれるのが「吹き出物」です。ニキビと吹き出物は、全く同じものですが、発生する年齢や場所、要因によって呼び方を区別されることがあります。

一般的にニキビは皮脂が過剰に分泌される10代の思春期にTゾーンにできるものを指し、吹き出物は生活習慣やスキンケア、肌の乾燥などいくつかの要因が合わさってできる20代以降のニキビで、皮脂が少ないUゾーンにできやすいものを指します。

ニキビと間違いやすい
できものとの違いと見分け方

ニキビケアをしてもうまく改善しない場合、もしかすると、ニキビと見た目が似ている皮膚の病気である可能性も考えられます。代表的な病気の特徴から、ニキビとの違いや見分け方をみていきましょう。

粉瘤

粉瘤

粉瘤(ふんりゅう)はドーム状に盛り上がったしこりで、皮膚上に黒い点ができることもあるため、ちょっと大きいニキビやしこりのあるニキビに見えます。ニキビと違い、独特なにおいを発します。

原因

毛穴の中に皮脂が溜まり発症するニキビに対し、粉瘤は皮膚の下に何らかの原因で袋状の構造物(嚢腫)ができ、その中に古い角質や皮脂などの老廃物がたまることでできます。粉瘤を脂肪のかたまりという方もいますが、内容物は脂肪ではありません。

対処法

粉瘤は薬では治すことができないため、サイズの小さいうちに袋状になった部分を取り出す手術をしますが、炎症が起きている場合やサイズが大きくて生活に支障がでる場合には手術で中身を取り出して、治った後に再度手術で袋を取り出すこともできます。

マラセチア毛包炎

ニキビの種類は?

ニキビのような赤いブツブツがあらわれ、かゆみを伴うことがあるマラセチア毛包炎は、マラセチアという皮膚に常在しているカビ(真菌)によって発症する皮膚炎です。マラセチアは背中ニキビの原因ともいわれますが、実際には背中ニキビとマラセチア毛包炎とは別物です。

原因

ニキビの炎症を起こす原因菌はアクネ菌で、マラセチアとは違います。炎症を起こしているのがアクネ菌であれば「背中ニキビ」、マラセチアであれば「マラセチア毛包炎」と分類されます。

対処法

マラセチア毛包炎はニキビと同じように、生活習慣を整えて肌を清潔に保つなどのケアが必要です。ただし、市販のニキビ薬では治らないためマラセチアの繁殖を抑える塗り薬を処方してもらいましょう。

脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)は、皮脂の過剰分泌が引き起こす皮膚炎で脂漏性湿疹とも呼ばれます。顔や頭など、皮脂の分泌が盛んな場所にでき、ニキビのように毛穴にポツポツできるのではなく、広範囲に赤みが広がってかゆみを感じることもあります。生え際や頭皮では皮むけが起こる場合もあります。

原因

脂漏性皮膚炎の明確な原因はまだわかっていませんが、皮脂の過剰分泌や皮膚に常在しているカビ(真菌)の一種「マラセチア」の増殖が関係しています。
ニキビとは炎症を起こす原因菌が違い、毛穴ではなく皮膚の表面の炎症という点でも違います。

対処法

皮脂の汚れを洗い落として皮膚を清潔に保つことが大切です。患部に炎症が起きているため炎症を抑えるステロイド外用剤や、マラセチアの繁殖を抑える抗真菌外用薬などが必要になり、皮膚科への受診をおすすめします。

顔ダニ

ニキビの種類は?

顔ダニは、毛包虫(もうほうちゅう)やニキビダニと呼ばれるダニの一種です。誰の顔にもいて、普段は余分な皮脂を食べてくれますが、増えすぎるとニキビに似た盛り上がりのある赤いブツブツができる「毛包虫性ざ瘡(もうほうちゅうせいざそう)」を起こします。ひりつき、かゆみを伴うことがあります。

原因

アクネ菌によって引き起こされるニキビと違い、顔ダニは毛穴や皮脂腺に住んでいるダニの増殖によって生じる発疹です。皮脂や化粧品類の油分がエサになり増えていきます。

対処法

軽度であれば市販薬でも治せるニキビとは違って、顔ダニは特殊な抗菌作用のある外用薬治療をするため、病院で処方してもらう必要があります。また、オイルタイプの化粧品類は控え、化粧道具は洗って清潔にすることが大切です。

稗粒腫

ニキビの種類は?

稗瘤種(ひりゅうしゅ・はいりゅうしゅ)は1㎜~2㎜のブツブツとした白い丘疹で、白ニキビにも似ています。目の周りやほほによくできます。痛みや匂いはありません。

原因

稗粒腫は、皮膚の下に何らかの原因で袋状の構造物(嚢腫)ができ、その中に古い角質がたまって形成されます。稗粒腫は生まれつきできるものと、火傷や傷が治ったあとにできるものがあります。

対処法

稗粒腫には中身を出す「稗粒腫治療」が行われます。注射針やレーザーで小さな穴を開けて圧出器で中身を出しますが、数が少ない場合やサイズが小さい場合には放っておいてもかまいません。

めんちょう

ニキビの種類は?

めんちょうは鼻など顔にできた「おでき」の呼び名で、毛包炎が進行したものです。長期間治らないものや繰り返すもの、赤く大きく腫れあがるものもあります。

原因

アクネ菌によって引き起こされるニキビと違い、めんちょうは毛穴の中で黄色ブドウ球菌が増殖することで起こります。毛穴が炎症を起こすため、痛みや熱をもつこともあります。ニキビと違って近くの毛包にも感染が広がっていく可能性もあり、注意が必要です。

対処法

ニキビ治療は塗り薬が基本ですが、めんちょうでは黄色ブドウ球菌に効果のある抗生剤の内服治療が行われます。膿ができて柔らかくなったおできには、膿を取り出す治療も行います。

口唇ヘルペス

ニキビの種類は?

口唇ヘルペスは、唇や唇のまわりにできるチクチクした痛みを伴う小さな水ぶくれ(水疱)ができる感染性の病気です。唇には毛穴がないためニキビはできないので、唇にプツプツとできたものは、口唇ヘルペスの可能性があります。

原因

口唇ヘルペスは単純ヘルペスウイルスによる感染が原因です。一度感染すると症状がなくなったあともずっと体内に潜伏して、風邪など体の抵抗力が落ちるとウイルスが活性化し再発を繰り返す特徴があります。

対処法

口唇ヘルペスはウイルスに効く外用薬で治療しますが、規則正しい生活やバランスの良い栄養をとって免疫力を高め、ウイルスに負けないようにするのも効果的です。ニキビと違い、人に感染することもあるため早めにクリニックを受診して治療をしましょう。

扁平いぼ

ニキビの種類は?

扁平いぼ(へんぺいいぼ)はウイルス性のいぼで、平たい形が特徴です。医学的にいぼは疣贅(ゆうぜい)と呼び、顔の扁平疣贅はニキビと間違われることがあります。20代~40代の女性にできやすく、触ることでどんどんと広がってしまうのが特徴です。

原因

口扁平いぼの原因はHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染です。小さな傷などから感染しやすく、顔そりなどによってウイルスが広がって、いぼが増えてしまうことがあります。

対処法

扁平いぼは、液体窒素を用いてウイルス感染細胞を壊死(えし)させる凍結療法や、炭酸ガスレーザーを用いてウイルスに感染した組織を蒸散して除去する治療、漢方薬のヨクイニンの内服治療などがあります。

水いぼ

ニキビの種類は?

水いぼは、プールの時期によく子どもが感染するいぼです。水いぼはだいたい2㎜~3㎜程度のものが多く、ポツポツできていると白ニキビと見間違うことがありますが表面がつやつやと光って見えるなどの違いがあり、見分けることができます。

原因

水いぼの原因はイボウイルスです。乾燥などで肌のバリア機能が低下していると、ウイルスが入り込んでいぼをつくります。いぼの中にはウイルスが潜んでいて、つぶれると周りにウイルスが広がって新たな水いぼができます。

対処法

水いぼはニキビのように効果的な治療方法はありませんが、一般的な治療法としては、特殊なピンセットを使用して水いぼを摘除します。ただし、痛みを伴うため麻酔テープなどで痛みを和らげます。水いぼは自然に治るため、治療せずに様子を見ることも可能です。

湿疹、あせも、
じんましん、毛嚢炎

ニキビの種類は?

湿疹とは、皮膚の表面に現れるかゆみ・赤み・ブツブツ・水ぶくれなどを伴う炎症の総称で「皮膚炎」とも呼び、具体的な病名として、あせも、じんましんがあります。あせもは、かゆみや痛みを伴い、ひどくなると水ぶくれや膿ができてじくじくしてきます。1日のあいだに赤みやブツブツが引けばじんましんの可能性が高いです。毛嚢炎は毛穴に一致して赤いブツブツができるので、ニキビとよく似ています。

原因

あせもの原因は大量の発汗、じんましんは特定の食材や薬、毛嚢炎は細菌感染など、それぞれニキビと原因が異なります。

対処法

それぞれ原因が違うので、対処法も異なります。適切な治療を受けるには皮膚科の受診が必要です。

気になる症状がなくても、
早めの受診を!

ニキビケアを試しても改善しない、それどころか悪化している場合には別の病気の可能性が考えられます。ニキビと思い込んで自分でケアを続けていると、ひどくなることもあります。ニキビではなくても、肌の炎症は悪化すると色素沈着など跡に残りやすいので、治りが遅いと思ったらすぐに病院やクリニックに相談してみましょう。