セルフケアで大人のニキビを
治すには?おすすめのケア
方法や生活習慣のポイント
「ニキビができたけどそんなにひどくないから自力で治したい」とお考えの方に、スキンケアや生活習慣のポイントなど、セルフケアについて日常生活でできる方法を具体的に解説します。
ときどきニキビができる方や、ニキビを悪化させてしまったことがある方もぜひチェックして、自己流ではなく正しい大人ニキビのセルフケアについて学びましょう。
美容皮膚科医タカミクリニック副院長の
山屋 雅美医師が監修しています。
大人ニキビをセルフケアで
治す前に知ってほしいこと
大人ニキビを自分で治す前に知っておいて欲しいのは、ニキビは「病気」のひとつであるということです。ニキビはほとんどの人が経験していて自然治癒するケースもあり、自分で何とかできると軽く考えている方が多くいますが、自宅で誰でもできるセルフケアは、基本的には「ニキビを予防する」「ニキビを目立たなくする」のが目的で、ニキビを治すというよりはニキビをできにくくさせる方法です。
大人ニキビができるのは、間違ったスキンケアやストレス、睡眠不足、食事バランスなどの生活習慣やホルモンの影響によるところが大きく、皮脂の過剰分泌が原因の思春期ニキビとは必要なセルフケアが違います。
セルフケアは、方法を間違えるとニキビの悪化やニキビ跡につながります。
また、大人ニキビはホルモンバランスを整えるために生活習慣を正していくことやストレスをためないことなど、毎日の積み重ねも大切です。
ニキビケアのNG行為と、正しいセルフケアについて解説しますので、参考にしてください。
ニキビにやりがちなNGケア
実は、日頃しているスキンケアの積み重ねによって、気づかないうちにニキビを悪化させている場合があります。また、ニキビをセルフケアで治す方法として世に発信されている情報の中には、本来絶対にやってはいけない方法や、皆さんがやってしまいがちな間違ったセルフケアもあります。どうしてダメなのか、どうすればいいのかも合わせて解説します。
①ニキビを潰す
ニキビを潰すのはもちろんですが、ニキビの膿や芯を出すのもNGです。手は無意識にさまざまな場所に触れているため、目に見えない汚れが付着しています。ニキビは刺激に敏感になっていて、汚れた手で触ると症状を悪化させます。また、ニキビを潰すときに余計な力が入ると皮膚を傷つけ、炎症がひどくなってクレーター状の跡になる場合もあります。
ニキビがあると何気なく手で触ってしまいますが、触れば触るだけ悪化してしまうので、いいことは何もありません。ニキビはできるだけ触らないようにして、スキンケアで肌に触れるときも手洗いをしてから行いましょう。
②洗顔のときの
洗いすぎ&こすりすぎ&使いすぎ
汚れや皮脂をきれいに落とそうとして1日に何度も洗顔したり、ゴシゴシこすって汚れを落とす“やりすぎ”洗顔は逆効果です。たとえば、顔に泡をのせて1分以上かけてしまっている方は、洗い過ぎて乾燥を招いている可能性があります。また、軽くなら問題ないと思って肌をこすっていると、ダメージが蓄積されて角質が厚くなりニキビをつくってしまいます。
良かれと思ってニキビ専用の殺菌効果や脱脂力の高い洗顔料を使ってしまうと、肌に負担がかかり、大人ニキビができやすい肌になることもあります。肌が乾燥し、敏感になりやすい大人ニキビには保湿成分の入った洗顔料がおすすめです。洗う回数や方法に注意しながら、洗浄力の強すぎるアイテムは避けて洗いましょう。
③オイルクレンジングや
保湿クリームを愛用
メイク汚れをしっかり落とせるからと、ニキビ肌にオイルクレンジングを使っていると、洗浄力がつよすぎてニキビに余計な刺激をあたえたり、皮脂を取り過ぎて乾燥ニキビにつながることや、肌に残ったオイル成分が毛穴をつまらせることがあります。
落ちにくいアイメイクはポイントリムーバーであらかじめオフして、顔全体にはジェルタイプやミルクタイプのクレンジングを使うことをすすめします。
こってりとした油分多めの保湿クリームも、毛穴をつまらせニキビを引き起こす可能性があります。とくにニキビや皮脂が出やすい部分にはクリームの使用は避け、ゲルや乳液など軽く肌に油膜をつくってくれるアイテムをうまく活用して肌を保護しましょう。
④しっかりメイクでニキビを
カバーする
ファンデーションは、油分の多いアイテムです。ニキビを隠そうと厚く塗るとメイクをきちんと落とすのが難しく、そのまま毛穴の詰まりとなってニキビの原因になります。
オイルフリーやパウダータイプなど油分が少なく、落としやすいファンデーションを使うようにしましょう。メイクの際も毛穴に塗り込まないように、薄くやさしく肌にのせます。茶色いニキビ跡を残さないためにも、適切なSPF数値の日焼け止めや化粧下地を使いましょう。
ニキビ肌にとってメイクは肌の刺激となるため避けたいものではありますが、ニキビを目立たない状態にできるという点では頼りになります。うまく使って味方につけましょう。
⑤食べ物の気をつけ方が
偏っている
ニキビを治す、ニキビをつくらないために、ビタミンばかり摂っていませんか?確かにビタミンを摂るのは大切ですが、ミネラルやたんぱく質などの栄養素が不足してしまってはニキビはなかなか治りません。さまざまな栄養素をバランスよく摂るように心がけましょう。
また、麺類、パン類にジュースを合わせるなど糖質が多い食事や、揚げ物や洋菓子などの脂質の多い食べ物を取り過ぎると大人ニキビができやすくなります。過剰摂取には注意が必要です。
⑥間違った自己流ケア
身近にあるものでケアできる自己流ケアは、ときに間違った情報が流れていて危険です。今はSNSなど誰でも情報発信ができる世の中になり、自己流で行っているニキビケアがまるで正しい方法かのように情報が流れています。
ニキビを歯磨き粉で磨く、ニキビにアルコールをつける、汗をかかないようにするなど、情報の間違いに気づかず行ってしまうと、ニキビがひどくなってしまいます。情報源が分からないニキビケアはニキビをこじらせる原因です。
皮膚科や美容皮膚科のクリニックでニキビ治療を専門に行っている医師や看護師などから正しい情報を教えてもらい、それをもとに自分でできるニキビケアを身につけましょう。
大人ニキビを防ぐ
スキンケア・生活習慣のポイント
間違ったケアが分かったところで、次は大人ニキビのできない肌にしていくために、どのようなセルフケアをしていけばいいのかをご紹介します。大人ニキビを防ぐためのスキンケア方法や生活習慣の見直しにも役に立つポイントを見ていきましょう。
①正しい洗顔方法で
やさしく丁寧に洗う
大人ニキビをつくらないために、まずは正しい洗顔やクレンジングの方法を知りましょう。
洗顔の効果を高めるために、洗顔の前には必ず手洗いをします。それからクレンジングや予洗いを行い、メイクなど肌表面に付着している汚れを落とします。クレンジングは肌をこすらないように指の腹を40秒ほど滑らせてメイクと馴染ませます。肌の皮脂を落としすぎるオイルタイプは避けましょう。すすぎや予洗いのときは34℃~36℃程度のぬるま湯で行うと、肌の潤いを逃がしにくいです。
洗顔では泡に弾力がないと肌との摩擦が起こりやすいため、モコモコとキメの細かい弾力泡をつくっておきます。皮脂の分泌が多いおでこや鼻などから泡を乗せていき、髪の生え際やフェイスラインまでしっかりとすすいだら、清潔なタオルで肌を軽く押さえて水分を拭き取ります。
②ニキビがあってもなくても
保湿を重視して
ニキビが出来る肌は脂っぽいからと、あえて保湿せず肌を乾かすようにしている方もいらっしゃいますが、大人ニキビは肌の乾燥が原因になっていることが多くあります。
保湿を行わず肌を乾燥さてしまうと、ターンオーバーが乱れて角質がごわつき毛穴がつまりやすくなるだけでなく、外部の刺激から肌を守るバリア機能がそこなわれて、ニキビなどの肌トラブルを引き起こします。
そのため、ニキビがある・ないに関わらず「保湿」はとても重要です。
大人ニキビの保湿ケアは、たっぷりの化粧水に加えて軽めの油分を補い肌に蓋をすることがポイントです。まずは洗顔のあと、すぐに化粧水をハンドプレスで肌にたっぷりとしみ込ませます。セラミドやアミノ酸などが配合されていると肌が潤います。敏感な肌には炎症を抑える成分も効果的です。化粧水のみの保湿では肌のうるおいがすぐに逃げてしまうため、乳液やゲルなど軽めの油分を塗って全体に膜を張ってあげると潤いが続きます。さらに潤いを高めたいのであれば、保湿効果をあげる美容液を追加しましょう。
③紫外線対策は365日欠かさない
紫外線は気候や天気によって多少強さは変わりますが、1年中降り注いでいます。紫外線を浴びた肌は皮膚の内部を守ろうと角質が厚くなります。すると、毛穴がつまりがちになりニキビができやすい肌になってしまいます。また、紫外線を浴びることで活性酸素が大量に発生し炎症も起こりやすくなります。
日焼け止めなら紫外線を防ぐ効果を表すSPFやPAの数値を、日傘を活用するときは紫外線カット率などの数値をチェックします。数値が大きいほど紫外線から肌を守る力も強くなります。屋外で活動する時間が長い日はSPF50以上欲しいところですが、肌への負担も大きいです。屋内で生活する日はSPFを35程度にするなど、生活に合わせて数値を選びましょう。
④ニキビによい栄養素を
バランスよく食事で取り入れる
大人ニキビをつくらないためには、皮膚を作り出すのに必要な「タンパク質」やターンオーバーを促進する「ビタミン類」など肌の機能を高める栄養素が必要です。ビタミンにもA・B群・C・Eなどさまざまな種類があり、それぞれに肌への働きも摂取できる食品も異なります。便通を整える食物繊維や乳酸菌なども肌の機能をサポートしてくれます。
糖分の多い食べ物や動物性脂肪の多い食べ物は、皮脂の分泌を増やしニキビを悪化させる可能性があるためできるだけ控えます。野菜や海藻、豆類やナッツなど、さまざまな食材をとりいれて、含まれる栄養素を意識しながら日々の献立を考えましょう。
また、1日3回規則正しく食事をすることも栄養バランスと同じくらい大切です。食事は毎日同じ時間帯にとるようにしてリズムを正し、ホルモンバランスが乱れないように気をつけます。夜中の食事や暴飲暴食、間食は身体の不調を招く可能性が高いため避けましょう。
⑤きちんと熟睡をする
「質の高い睡眠」をとる
しっかりと睡眠が取れると、ホルモンバランスや肌のターンオーバーが正常になり肌が健康的になります。睡眠時間を十分に確保し、いつも決まった時間にベッドに入って熟睡することが大切です。熟睡できるように、寝る予定の1時間前にはテレビやスマホなどの視聴をやめ、ライトの照度を落とすなどして心をリラックスさせます。
また、ベッドに入る1~2時間前に入浴して身体を温めておくと熟睡しやすいです。入浴後に軽くストレッチしたり、気持ちが落ち着く音楽を流したり、香りを楽しんだりしてみるのもおすすめです。
⑥上手なストレス解消法を
見つける
大人ニキビにとってストレスは悪影響にしかなりませんが、私たちは環境や人間関係など生活の中でのストレスを避けて過ごすことができません。ニキビをつくらないためには、日常生活でリラックス法やストレス解消法をうまく取り入れて、ストレスを溜めないようにすることが必要です。
自宅では、心がゆったりと過ごせるリラックスタイムをつくりましょう。また、気持ちいいと感じる程度に身体を動かすのもストレス解消になります。温泉や買い物などに出かけたり、友人とお茶をしたり、ひとりでゲームに没頭したりと、自分にピッタリの方法を探してみましょう。
正しいセルフケアでニキビに
負けない健康肌に!
セルフケアは、大人ニキビができにくい健康的な肌への一歩です。ニキビケアと規則正しい生活を毎日積み重ねていくと、肌の機能が正常に働くようになります。大人になってニキビができやすくなったと感じている方は、ぜひこの機会に普段の生活やスキンケアを見直してみてはいかがでしょうか。