ニキビのできにくい肌を目指そう

思春期ニキビはいつまで
続くの?医師が教える
原因と予防方法・治し方

中学生・高校生の思春期になると、急にニキビに悩まされることが増えてきます。一般的に「思春期ニキビ」は多くの人が経験しますが「何となく恥ずかしい」「ニキビ肌を見られたくない」など、ニキビのせいで自分にも自信がもてなくなってしまうこともありますよね。思春期ニキビの正しい知識を身につけて、ニキビで悩まないきれいな肌にしていきましょう。

美容皮膚科医タカミクリニック副院長の
山屋 雅美医師が監修しています。

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思春期ニキビとは?

ニキビの種類は?

思春期ニキビとは、主に10代の頃にできるニキビで、ほとんどの人が経験します。思春期ニキビの原因は、成長期にホルモン分泌が急増することで肌の皮脂量が過剰に多くなることです。思春期ニキビは額や鼻など皮脂が多いTゾーンにあらわれやすく、ホルモンバランスが安定してくると自然と治っていくのが特徴です。

思春期ニキビでよくあるお悩み

思春期ニキビができ始める時期は人それぞれ。小学校高学年からできる方もいれば中学生や高校生になってからできる方もいます。10代は身体が大きく変化するだけでなく、通学・部活動・受験など生活も忙しくなる時期で、心もアンバランスになりやすいため悩みも複雑です。

額にニキビができると視線が気になって前髪を上げられない、鼻や頬など隠せない部分にできると気持ちが落ち込んで勉強や部活に集中できない、といった悩みを抱えている10代は多いと思います。また、思春期にニキビができると劣等感や恥ずかしさから、自分に自信が持てなくて友人との付き合いが消極的になることも。

反抗期などで、親や友人など身近な人にも相談しにくいと感じて悩みを打ち明けられない方もいれば、ニキビができない人がうらやましくてイライラをぶつけて後悔してしまう方もいます。

思春期ニキビはいつまで続く?

一般的に、思春期ニキビは小学校の高学年から中学生の間にでき始め、高校生の頃にピークを迎えます。成長期が終わった20歳前後になると、皮脂の分泌が落ち着いてきて自然とできなくなるものです。しかし、人によってはニキビが治らず長引くこともあります。

思春期ニキビはなぜできる?

思春期ニキビはなぜできる?

思春期ニキビができる原因(メカニズム)は、基本的に大人になってできるニキビと同じで「毛穴の詰まり」「皮脂の過剰分泌」「毛穴の中でアクネ菌が増える」の3つが主な原因です。それぞれの原因が影響し合ってニキビをつくります。

ニキビの始まりは、毛穴がふさがれて皮脂が詰まった状態の白ニキビです。そのまま皮脂の分泌やアクネ菌の増殖が改善されないと、炎症を起こした赤ニキビへと進行し、さらに悪化すると膿が溜まって黄ニキビとなります。

思春期にできるニキビの原因は?

思春期ニキビができるのは、成長期に身体の変化をおこすホルモン分泌の増加が原因です。
成長期にあたる12歳~13歳頃から、男性は男性ホルモン、女性は女性ホルモン(黄体ホルモンと卵胞ホルモン)の分泌量が急激に増加します。

男性ホルモンには、皮脂量を増やし、角質を厚くする働きがあるため、思春期に男性ホルモンが急激に増えることによって、毛穴の出口付近の角質が厚くなって毛穴をふさぎ、大量の皮脂を閉じ込めて、アクネ菌を増やしやすくしてしまうのです。

女性の場合は、男性ホルモンと似た働きをもつ黄体ホルモンの分泌が活発になることで皮脂量が増えて、ニキビができやすくなります。女性は生理前になると黄体ホルモンが増えて、ホルモンバランスが乱れやすくなるため、男性と比べると思春期にニキビができやすい傾向があります。

男性・女性ともに、10代は受験勉強や人間関係などのストレスが引き金となってホルモンバランスが崩れ、ニキビを悪化させてしまうこともあります。

また、生まれつき皮脂を作りやすい体質やニキビができやすい家族がいるなど遺伝の可能性もあります。思春期ニキビができやすい方がいる一方、体質的に思春期ニキビができない方もいます。

思春期のニキビの特徴は?

思春期ニキビは肌が脂っぽい方にできやすく、季節的に春から夏にかけて増えます。思春期にできたニキビは炎症のある赤ニキビへと進行しやすく、さらに黄ニキビへと悪化してクレーター状に肌がへこむニキビ跡になりやすいのが特徴です。

白ニキビ

毛穴がふさがったコメドといわれるニキビの初期段階です。肌細胞の生まれ変わりであるターンオーバーがうまく行われないと、角質が厚くなって毛穴をふさぎ、皮脂が毛穴の外へ出られなくなります。

ニキビの種類は?

黒ニキビ

白ニキビを放置していると毛穴が開いて、皮脂や古い角質が空気に触れて酸化し黒くなっていきます。白ニキビ同様炎症はありません。

ニキビの種類は?

赤ニキビ

毛穴の中で皮脂をエサとしてアクネ菌が増殖し、赤みや腫れなど炎症を起こします。触ると痛みを感じることもあります。

ニキビの種類は?

黄ニキビ

炎症が悪化して、毛穴に膿がたまった状態です。ニキビ全体に赤みがあり、皮膚が薄くなって中心にある黄色い膿が透けて見えます。

ニキビの種類は?

思春期ニキビが
できやすい場所は?

思春期ニキビができやすいのは、皮脂が多くテカりやべたつきのある部分です。顔全体にポツポツできることもありますが、とくに額やこめかみ、鼻・鼻の周りや頬にかけては皮脂の分泌が多く、思春期ニキビがよくできます。

ニキビの種類は?

思春期ニキビと
大人ニキビの違い

10代にできる「思春期ニキビ」と20代や30代にできる「大人ニキビ」は、できる年代は違いますが「尋常性ざ瘡」という同じ皮膚の病気です。しかし、ニキビを引き起こす要因やケアの方法などに違いがあります。

原因

思春期ニキビは10代の二次性徴によって起こる過剰な皮脂の分泌が原因です。一方で大人ニキビは、ストレスや睡眠不足からくるホルモンバランスの乱れ、間違ったスキンケアやメイクなど、様々な要因が絡み合って毛穴のつまりが生じニキビが発生します。

できやすい部位の違い

思春期ニキビはTゾーン(額から鼻の周囲まで)や頬など皮脂の多い部位にできやすく、大人ニキビはUゾーン(頬や口周り、フェイスライン)や首など皮脂が少ない部位によくできます。

ケア方法の違い

思春期ニキビは、余分な皮脂や汚れを取り除き、肌を清潔に保つスキンケアが基本です。毛穴の詰まりを取り除く角質ケアも同時に行います。大人ニキビでは、水分と油分のバランスを意識した正しいスキンケアと角質ケアを行い、同時に、食事の偏り、睡眠不足、ストレスなどライフスタイルの見直しも必要となります。

思春期ニキビを予防する
8つのこと

思春期ニキビを予防する8つのこと

思春期ニキビで悩まないためには、ニキビをつくらないための毎日のケアが大切です。

思春期ニキビは、毛穴がふさがって皮脂が毛穴に溜まることで発生し、アクネ菌が増殖して悪化する一連の過程をたどります。つまり「毛穴を詰まらせない」「皮脂を過剰に分泌させない」ケアができればニキビを予防できます。

ニキビを予防するために自分でできる8つのことを紹介するので、ぜひ実践してみてください。

①触らない・潰さないこと

ニキビを潰したり膿を出したりすると、炎症がひどくなって治りが遅くなるだけでなく、肌にニキビ跡を残すリスクが高まります。ニキビの症状が落ち着いても、自分で潰した場所が茶色くなったり肌がデコボコしたりと、きれいに治せなくなってしまいます。

また、初期の白ニキビを指で触っていると、刺激になって炎症ニキビへと進行させてしまいます。だからといって、何もケアをしないでいてもニキビは進行していきます。ニキビをきれいに治すために、むやみに触ったりつぶしたりせず正しいニキビケアを行いましょう。

②自己流ケアはしないこと

近ごろはネットで調べればさまざまな情報があふれています。ニキビも自分で治す方法を調べて試したくなるのは分かりますが、間違った情報も数多くあるので注意が必要です。

間違ったケアをしてしまうと、ニキビが悪化して跡になってしまう可能性もあります。皮膚科や美容皮膚科などのニキビ専門の病院やクリニックで相談するなど、ニキビケアの正しいケア方法を身につけることが大切です。

③やさしく洗顔すること

皮脂が肌に長時間ついたままでいると、酸化してニキビを引き起こすきっかけになるため、朝晩2回の洗顔で余分な皮脂汚れを取り除き、ニキビを予防します。しかし、1日に何度も洗ったりゴシゴシこすり洗いをするのは逆効果です。やさしく丁寧な洗顔を心がけましょう。

部活のあとや体育のあとで皮脂や汗を流すときにはぬるま湯だけでもOKです。洗い過ぎて必要な皮脂まで取り去ってしまうと、皮脂がさらに分泌されて悪循環となるため、洗顔料を使用するのは朝晩の2回までにしましょう。

40℃以上のお湯を使うと肌が乾燥しやすくなり、冷たいと皮脂が落ちにくくなります。洗顔するときには34℃~38℃程度のぬるま湯で、過剰な皮脂と汚れだけを落としましょう。

洗顔方法は、まずぬるま湯で顔全体をさっと予洗いして表面の汗や汚れを流します。泡立てネットで弾力泡をつくったら、手が肌に直接触れないように顔全体に泡をのせていきましょう。泡をのせる時間は20秒~30秒程度です。髪の生え際やフェイスライン、あごの裏などは泡が残りやすいので丁寧にすすぎます。

あとはタオルで顔を包み込むようにして水分を吸収させます。タオルは自分専用にして毎日取り替えましょう。洗顔のときも拭き取りのときも肌をこすらないように注意します。

④しっかり保湿すること

思春期ニキビは皮脂が多くて洗顔ばかりに注目してしまいがちですが、保湿も大切です。

肌が乾燥すると、肌が本来もっているバリア機能が弱まり、汗やホコリなどちょっとの刺激にも敏感になります。また、乾燥した肌は足りない油分を補おうとして皮脂を過剰に分泌してしまいます。

洗顔のあとは化粧水で肌に潤いを与え、水分の蒸発をふせぐために油分が少なめのゲルや乳液などで蓋をしてあげましょう。バリア機能がしっかりと働いてニキビができにくくなります。

⑤日焼け止めをしっかり塗ること

体育の授業や部活、友達と遊ぶなど外で活動するのは健康的ですが、残念ながら紫外線はニキビにとって大敵です。

紫外線は皮脂を酸化させて炎症を悪化させたり、茶色いシミのようなニキビ跡をつくってしまうことがあります。

紫外線対策は夏のイメージかもしれませんが、季節や天気に関係なく毎日降り注いでいるので、SPF35程度の日焼け止めは1年通して毎日塗りましょう。外で活動する前には塗り直すと効果的です。

初めて使う日焼け止めは、二の腕の内側やあごの裏に塗って肌トラブルが起きないかテストしてから使うと安心です。ニキビができている肌はデリケートなので、敏感肌用の日焼け止めを選びましょう。

⑥バランスのよい食事をとること

間食に甘いお菓子や揚げ物を好んで食べていませんか?また、体重を落とすために無理なダイエットをしていませんか?

糖質や脂質をたくさん摂ると皮脂が分泌されてニキビができてしまうため、食べ過ぎないよう注意です。逆に、肌をつくる元となる「たんぱく質」や、皮脂の量を抑える「ビタミンB2」ニキビの炎症を防ぐ「ビタミンC、ビタミンE」は積極的に摂りましょう。

間食にスナック菓子を食べているならフルーツやナッツなどに変えたり、朝ごはんの食パンにヨーグルトや目玉焼きなどをプラスしたり、野菜ジュースを飲んだりするのがおすすめです。

思春期は成長期の時期なので、身体の成長や健康を考えて栄養バランスのよい食事を摂るように工夫しましょう。

⑦睡眠不足にならないこと

勉強に、部活に、遊びに…と毎日忙しい中高生は「いつの間にか夜遅くまで起きていた」ということもあると思います。朝練やテストなどがあるときには早起きもしなければならず、気が付くと睡眠不足になっていることも。

睡眠不足はホルモンバランスの乱れにも大きく影響していて、思春期のニキビを悪化させてしまうことにつながります。睡眠不足にならないためにも、寝る前の過ごし方を工夫するようにしましょう。

お風呂では10分~15分は湯船につかって体を温め、リラックスする時間をつくります。また、ベッドに入る1時間前にはスマホやゲームに触らないようにして、深い眠りにつけるようにしてみましょう。

⑧ストレスをかかえないこと

思春期は、恋愛や友人関係、進路などいろいろと悩みを抱えやすい時期です。気づかないうちに溜まったストレスが、ホルモンバランスを崩してニキビを引き起こしていることもあります。また、ニキビがあること自体をストレスに感じて、無意識にニキビをつぶしている場合もあります。

ストレスは思春期ニキビを悪化させる原因になるため、できるだけ発散させるようにしましょう。ストレス発散の方法は人によってさまざまですが、カラオケで歌ったり、好きなことに意識をむけたり、ストレスから離れて楽しく過ごす時間をつくることが大切です。

思春期ニキビは治し方が大切。
跡になる前に相談しよう!

思春期ニキビは早く対処すればきれいに治せますが、周りに相談できずに自己流のケアをして悪化させているケースもたくさんあります。お父さん、お母さんはお子さんのニキビを見つけたら、親身になって話を聞いてあげてください。
正しいケアがよく分からないときには、皮膚科や美容皮膚科などでニキビを専門とする医師の診察を受けて根本治療を始めましょう。