毛穴トラブルのない肌を目指そう

毛穴に炎症が起こると
どうなるの?
毛嚢炎の可能性も?

毛穴に炎症が起こるとどうなるの?毛嚢炎の可能性も?

毛穴に炎症が生じると、赤く腫れたり膿をもったりして目立つため、気になりますよね。炎症が進行すると跡が残ることもあり、慎重なケアが必要です。
毛穴が炎症を起こす理由は、さまざまな要因が考えられるため、毛穴がどのような原因で炎症を起こすのかを理解しておきましょう。

美容皮膚科医タカミクリニック副院長の
山屋 雅美医師が監修しています。

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毛穴の炎症とはどのような状態?

毛穴の炎症とはどのような状態?

毛穴の炎症とは、毛穴の中や毛穴周りの皮膚が、赤くなったり、腫れや痛み、発熱などの反応が起きた状態を指します。かゆみや機能障害を伴うこともあります。一般的に、毛穴が細菌などに感染したり、組織が損傷したりすると、生体防御反応として炎症が起こります。

よく「毛穴の炎症は毛嚢炎(もうのうえん)が原因だ」と言われることがありますが、必ずしも毛嚢炎によって炎症が起きているとは限りません。

そのため、炎症が起きたからといって毛嚢炎と決めつけず、原因に応じて正しい対処をおこなうことが大切です。炎症が起こる原因は多くあるため、症状がひどいときは医師に相談しましょう。

毛穴の炎症が起こる原因

毛穴に炎症が起きるのは、主に細菌感染が原因となります。細菌が何かしらの理由で毛穴の中で増殖すると、生体の防御反応で炎症が起こり、赤みや腫れ、かゆみなどの症状が現れます。多くの場合、皮膚の常在菌が原因となります。

毛穴の炎症の
原因となる主な細菌
・ブドウ球菌
「毛嚢炎」などを引き起こす
・アクネ菌
「ニキビ(尋常性ざ瘡)」を引き起こす
・マラセチア
「マラセチア毛包炎」などを引き起こす

ただし、毛穴の炎症の原因は、皮膚常在菌だけでなく、他の要因による場合もあります。

毛穴の炎症が起きやすい部位

炎症の原因や種類によっても異なりますが、毛穴の炎症は、顔・体のあらゆる部位に起こりえます。

例えば、毛穴の炎症を引き起こすきっかけの一つにムダ毛処理がありますが、男性の場合は髭の生える顎周りに炎症がよく見られます。

このほか、汗や皮脂が多く分泌されやすい部位、摩擦が起きやすい部位も毛穴に炎症が起きやすいとされています。例えば、太ももや脇、臀部や陰部、脚などの部位が該当します。

毛穴の炎症の種類

毛穴の炎症の種類

炎症が起きると、「毛嚢炎では?」と疑う方がいますが、毛穴の炎症は毛嚢炎だけではありません。疑わしい主な毛穴の炎症の病気を知っておきましょう。

毛穴の炎症の種類①
毛嚢炎・毛包炎

毛嚢炎(もうのうえん)とは、小さな傷などから細菌が侵入・増殖し、毛穴の奥にある毛嚢や毛包が感染によって炎症を起こしている状態を言います。別名、毛包炎(もうほうえん)とも呼ばれます。

原因となる菌には、黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌などがあります。これらは皮膚常在菌のため、健康な方の皮膚にも存在している菌です。そのため、毛嚢炎(毛包炎)は誰でも発症する可能性があります。

特徴

毛嚢炎(毛包炎)になると、毛穴が赤く腫れたり膿をもったりします。痛みやかゆみを伴うこともあり、ニキビと間違えることもあるでしょう。

部位

毛嚢炎(毛包炎)ができやすい部位としては、ムダ毛処理がきっかけとなってできることが多いため、顎や口の周り、腕や脚、Vラインなどが挙げられます。

カミソリや電気シェーバーをつかったムダ毛処理は、肌に小さな傷をつけたり、肌の表面の角質を削り取ってしまうことがあります。すると傷口や毛穴から菌が侵入し、毛嚢炎(毛包炎)を引き起こしてしまうのです。

毛穴の炎症の種類②
炎症を伴うニキビ

ニキビも毛穴に炎症が起きる原因の一つです。毛嚢炎(毛包炎)と見た目が似ていますが、ニキビはブドウ球菌ではなく、主にアクネ菌の増殖によって起こります。過剰に分泌された皮脂が毛穴に詰まり、そこでアクネ菌が繁殖して炎症を起こします。

特徴

初期の段階であれば、皮脂が毛穴に詰まっているだけなので炎症は起きていません。しかし、悪化すると赤みや腫れを伴う赤ニキビや、膿を伴う黃ニキビなどに発展することがあります。
炎症が真皮層にまで及ぶと、ニキビ跡が残ってクレーター肌になることもあるため、初期のうちから適切な治療をおこなうことが大切です。

ニキビと毛嚢炎(毛包炎)は見た目や症状が似ており、どちらも痛みを伴うことがあります。ただし、ニキビと一般的な毛嚢炎(毛包炎)とは治療方法も異なるため、見分けが難しい場合は、皮膚科医に相談することをおすすめします。

部位

ニキビの炎症は、顔であれば額、こめかみ、口周り、フェイスラインなど、体であれば背中やデコルテなどが起こりやすい部位です。

毛穴の炎症の種類③
マラセチア毛包炎

マラセチア毛包炎とは、マラセチアと呼ばれる真菌(カビ)によって起こる炎症を指します。毛根を包んでいる毛包に炎症が起こり、赤いポツポツが発生します。

マラセチアも誰の肌でも見られる皮膚常在菌で、皮脂をエサとするため、皮脂の多い部位に多く常在しています。高温多湿な環境が続いたり、皮脂量が増えたりすると、マラセチアが異常に増殖し、肌トラブルを引き起こす可能性があります。

特徴

症状としては、数ミリ程度の赤いポツポツでニキビと見た目がよく似ています。

部位

背中や胸などに広範囲に広がってできるなど、背中ニキビや胸ニキビと類似した点が多く、よく間違われますが、マラセチアは真菌(カビ)の一種であるため、治療には抗真菌薬が使用されます。

毛穴の炎症の種類④
毛孔性苔癬

毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)とは、二の腕でよく見られる小さな発疹のことです。毛孔性苔癬ができる原因については、現時点では明らかになっていません。今のところ、遺伝が関係しているのではと考えられています。

特徴

毛穴が角質で塞がれた状態で、痛みやかゆみはほとんどありません。ザラザラと乾燥した肌ざわりで、複数の発疹がまとまってできることが特徴です。

毛嚢炎やニキビのように、細菌感染が原因で炎症を起こしているわけではありません。単にブツブツができているだけのことが多いですが、塞がれた毛穴の中で軽く炎症を起こしている場合や、擦れたり引っかいたりすることで、皮膚の炎症を合併していることもあります。

部位

二の腕以外にも、肩や背中、お尻や太ももにも見られます。

毛穴の炎症の種類⑤
脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎とは、皮脂分泌量が多い場所に起こる皮膚炎のことです。マラセチア毛包炎と同じく、真菌(カビ)の一種であるマラセチアが原因となります。皮脂をエサにマラセチアが繁殖して、皮膚の表面に炎症を起こしてしまうのです。

特徴

皮膚が赤くなったりかゆみを伴ったりします。頭皮に脂漏性皮膚炎ができると、フケが多く出るのも特徴です。

脂漏性皮膚炎の治療には、抗真菌薬が用いられます。かゆみが強い場合は、抗ヒスタミン薬の使用も有効です。また、肌の炎症が進んで赤みが強く出ているときは、ステロイドが用いられることもあります。

部位

鼻の周辺やTゾーン、頭皮などでよく見られます。

毛穴に起こる炎症の初期症状

毛穴の炎症には初期症状があります。次の症状が見受けられた場合、毛穴に炎症が起こっている可能性が高いため、対処やケアを検討しましょう。

毛穴の炎症の初期症状
  • 毛穴が赤く見える
  • 皮膚に軽い痛みやかゆみがある
  • 毛穴の部分の皮膚が盛り上がっている

毛穴が赤く見える場合は、すでに炎症が起きている可能性があるでしょう。ニキビの場合は、アクネ菌が皮脂を分解してできた、遊離脂肪酸によって炎症が起こります。

毛嚢炎(毛包炎)の場合は、毛穴と一致した場所に、赤いブツブツができることが多いです。いずれの場合も一つだけポツンとできることもあれば、複数できることもあります。

皮膚に軽い痛みやかゆみがあるときも注意しましょう。細菌などに感染し、炎症が起こる一歩手前の状態になっている可能性があります。毛穴の部分が盛り上がっている場合は、皮脂が毛穴に詰まっていたり細菌などに感染したりしているケースが考えられるでしょう。

毛穴の炎症の治し方・ケア方法

毛穴の炎症を治すためには、適切な治療やケアをおこなうことが大切です。赤みを帯びて炎症が起きているようでしたら、肌にダメージを与えないようにして、症状の悪化を防ぎましょう。

毛穴が炎症を起こす原因はさまざまですが、どのような原因であっても、肌に負担をかけないように、日頃から心掛けることが大切です。

患部を必要以上に触らない

患部を必要以上に触らない

毛穴が炎症を起こしている場合は、患部を必要以上に触らないようにしてください。気になってついつい触りたくなるかもしれませんが、頻繁に触っていると摩擦によって肌が刺激を受け、炎症がひどくなる可能性があります。

膿を潰すのも避けましょう。医療機関で膿を出してもらう処置を受けるのは問題ありませんが、自分で潰してしまうと、そこから雑菌が入ってかえって炎症がひどくなることがあります。炎症が悪化して跡が残ることもあるため、自分で潰すのは控えましょう。

また、毛穴に炎症が起きている間は、ムダ毛を自己処理したり、レーザー脱毛の施術を受けたりするのも避けてください。ムダ毛を剃ったり抜いたりするときの刺激で、炎症が悪化する恐れがあります。

日頃から肌を清潔に保つ

日頃から肌を清潔に保つ

毛穴の炎症を予防するためには、日頃から肌を清潔に保つように心掛けましょう。顔や体を毎日きれいに洗うことが、肌を清潔に保つ基本となります。

顔や体を洗うときは、はじめにぬるめのお湯で予洗いをします。その後、低刺激の洗浄剤を使って泡で肌を包み込むように優しく洗います。洗い流しもぬるま湯を使い、すすぎ残しがないようにしっかり洗い流します。

顔や体を洗った後は、丁寧に保湿をおこなうことも忘れないでください。肌が乾燥するとバリア機能が低下し、細菌や真菌(カビ)に感染しやすくなります。

肌に直接触れるものも清潔を保つようにしましょう。衣類やタオル、枕や布団などは定期的に洗って雑菌が繁殖しないようにします。さらに、髭剃りやカミソリなどが汚れている場合もありますので、注意が必要です。

充分な保湿を徹底する

充分な保湿を徹底する

肌のバリア機能を正常に保つためにも、十分な保湿ケアを日頃からおこなうことが重要です。バリア機能とは、皮膚を乾燥や刺激から守るための働きのことを指します。

バリア機能が低下すると、些細な刺激に対して敏感に反応したり、皮膚常在菌が異常に増殖して肌荒れを起こしたりする原因となります。つまり、毛穴の炎症の予防やケアをおこなうためには、バリア機能の低下を防ぐことが大切です。

特にムダ毛処理をした後は、肌が乾燥しやすくなっているので、入念に保湿をおこなうようにします。保湿の際は、手を清潔にして肌に優しく触れるようにしましょう。

紫外線対策をする

紫外線対策をする

紫外線は、皮膚の免疫機能を低下させる働きがあります。表皮には、免疫機能を司るランゲルハンス細胞が存在します。このランゲルハンス細胞が病原体を認識して周囲の細胞に情報を伝え、異物を排除しているのです。

しかし、紫外線を多く浴びると、ランゲルハンス細胞が正常に機能しなくなり、肌の免疫力は低下します。結果として、雑菌の繁殖や毛穴の炎症が起こりやすくなります。
また紫外線は、免疫機能を低下させるだけなく、皮脂の酸化を促進して炎症を招くことがあります。

紫外線は年中降り注いでいるため、毛穴の炎症を未然に防ぐためにも、季節を問わず普段から日焼け止めを使ったり、帽子や長袖の衣類を着用したりして、紫外線対策を欠かさないようにしましょう。

摩擦により肌に過度の負担が
かかるケアをやめる

摩擦により肌に過度の負担がかかるケアをやめる

クレンジングや洗顔をするときに、肌に過度な摩擦が加わると、角質層が乱れてバリア機能が低下し、毛穴の炎症を引き起こしたり、悪化させたりすることがあります。
特に、スクラブ入りの洗顔料や拭き取るタイプのメイク落としなどは、摩擦を与えやすいので使用を控えましょう。クレンジングはクッション性が高く、肌に摩擦を与えにくいジェルタイプの使用をおすすめします。

洗顔するときは、手で肌を直接擦らないように、泡をたっぷりとつくって優しく洗ってください。ゴシゴシ擦るように洗ったり流したりすると、肌がダメージを受けて炎症が起こりやすくなります。所要時間にも注意を払い、クレンジングは1分以内、洗顔は30秒以内に済ませるなど、時間をかけずに短時間でサッと終わらせるのがポイントです。

抗菌効果のある
OTC医薬品を使う

抗菌効果のあるOTC医薬品を使う

OTC医薬品とは、処方箋なしで薬局やドラッグストアなどで購入できる市販薬のことです。毛穴の炎症が気になる場合は、グリチルリチン酸二カリウムやアラントインのような、抗炎症作用のある成分が配合された市販薬を選んでみてください。これらの成分が炎症を抑えて、毛穴の赤みを和らげます。

軽度の毛嚢炎(毛包炎)であれば、薬剤師に相談のうえ、抗菌成分が配合された塗り薬を使うのも良いでしょう。効能効果の欄に「毛嚢炎(毛包炎)」と記載されているOTC医薬品であれば、使用しても問題ありません。

薬局やドラッグストアでも毛穴の炎症対策に適した商品が多く取り扱われていますが、本来なら炎症の原因や症状の程度に合わせて、薬の種類や濃度などを調節して、治療をおこなわなければなりません。そのため、毛穴の炎症で悩んでいる方は、美容皮膚科医などの専門家に相談したうえで適切なケアをおこなうことが理想的です。

背中や脚の毛穴の炎症が
目立つ方は
コットン素材の
衣類がおすすめ

毛穴の炎症は、顔だけでなく背中や脚、脇などにも見られることがあります。
顔以外の部位に炎症が起きている場合は、衣類による摩擦の影響を受けている可能性も考えられるため、背中や脚などの毛穴の炎症が目立つ方は、衣類の素材にも気を配ってみてください。

コットンは、繊維の毛先が丸みを帯びているので、着用したときにチクチクすることもなく、肌に刺激を与えにくいうえ、通気性と吸収性にも優れているため雑菌も繁殖しづらく、おすすめです。

毛穴の炎症は初期の段階で
医師に相談してみよう

毛穴が赤くなっている場合、毛嚢炎(毛包炎)やニキビ、マラセチア毛包炎や毛孔性苔癬、脂漏性皮膚炎など毛穴に炎症が起こっている可能性があります。毛穴の炎症が進むとセルフケアでの改善が難しくなるため、初期の段階から適切な治療やケアをおこなうことが重要です。

とはいえ、自分で毛穴の炎症の原因を特定し、正しいケアをおこなうことは簡単ではありません。そのため、毛穴の炎症が気になる場合は、皮膚科や美容皮膚科などの専門医療機関で治療を受けるようにしましょう。

特に毛嚢炎(毛包炎)の場合は、皮膚科での治療が基本です。毛穴の炎症に対して知識をもった医師がしっかりと診察をおこない、あなたの悩みに合った治療法やアドバイスを提供してくれます。自己判断によるケアよりも、確実な治療を受けられるため、受診することで早期に肌悩みを解決できるでしょう。

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